自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第14話 財務会計④ 「割り引く」とは? 

本エントリは、中小企業診断士試験を目指す著者が一年をかけて学習してきた経緯についての記事だ。
中小企業診断士試験は七科目の試験科目があり、それぞれをパスする必要がある。それらの科目の学習を振り返り、捲土重来を期すための備忘録としてこのテーマで記事にしている。むろん、中小企業診断士試験に興味のない方には無益だし、興味ある方でさえ、著者のバカさ加減には閉口するだろう。本エントリは著者のバカさ加減を披露するための記事でもある。
(だんだん自虐的になっている・・・(笑))

***

スピ問様にお世話になっているのだが、スピ問様もやっとこ19ページ目に差し掛かった。19ページは『設備投資の経済性計算』とある。ここからファイナンス分野に突入、というわけだ。
さて、19ページ目のお題はこうだ。

「・・・この設備投資案の営業キャッシュフローの金額を求めよ」だって。

・・・。

営業キャッシュフローって何?

ファイナンスの分野ではキャッシュフローという言葉が幾度となく登場する。それは営業キャッシュフローと呼ばれたり、フリーキャッシュフローと呼ばれたり。

営業キャッシュフロー=税引後営業利益+減価償却だってさ。むむむ? つまりは手元に残る現金ということか?

背骨が軋んでいった

設備投資の経済性計算は続く。踏ん張りどころか。
でも、正味現在価値をNPVというが、このへんは楽しそう。NPVは、将来キャッシュフローを現在価値に割り引き、その合計を求め、そこから設備投資額を引いたとき、その値が正の数になっていれば投資を実行しようというものだ。
ここで気になったのは「割り引く」という言葉だ。
カンタンに記すとこういうことになる。
今もらえる10,000円と1年後もらえる10,000円とでは当然に価値が異なるという考え方だ。つまり、今、利子率を10%だと仮定すると、今もらえる10,000円は1年後には11,000円になるはずで、1年後に10,000円をもらった場合と比べて利子率の10%分多いというわけだ。逆に言えば、1年後にもらえる10,000円の、現在の価値はこう計算できる。
【現在の価値】×(1+利子率)=10,000  だ。
ということは、
【現在の価値】×(1+0.1)=10,000  だから  

【現在の価値】=10,000÷(1+0.1) ということだ。
したがって、現在の価値は9,091円ということになる。
今もらえる10,000円と9,091円では誰が見ても今もらえる10,000円のほうが価値が高いことが分かる。
現在価値に割り引く、とは、将来得られる収入を利子率を踏まえて現在価値に換算することを指すわけだ。

この割引計算は自力で計算することが出来るのだが、診断士試験においては“現価係数”という数値が与えられるので面倒な計算をしないで済むことが多い。こういうところは親切なのねぇ。

現価係数には二種類ある。複利現価係数と年金現価係数だ。複利現価係数を積み上げたものが年金現価係数なのだが、それぞれの現価係数の使われ方を理解しないと間違えてしまう。得られるキャッシュフローが毎年度異なる場合は複利現価係数を使用し、毎期一定のキャッシュフローが得られる場合には年金現価係数を使用する。ここを押さえておくとよい。
さて、設備投資の経済性計算の手法にはいくつかの種類がある。さきほど見た正味現在価値法(NPV)、NPV=0になるときの割引率を算出し、その割引率が資本コストよりも高いとき投資を実行するという内部収益率法(IRR)、投資額が何年で回収できるかという期間回収法、各期のキャッシュフローの現在価値の合計と設備投資額の現在価値の比率によって投資の意思決定を行う収益性指数法、さらにはリスク調整割引率法などいろんなやり方がある。それぞれにメリット・デメリットが存在するが、もっとも利用されているのがNPVだ。IRRは電卓で計算しようとするととても面倒だし、キャッシュフロー(以下、CF)の符号が何回も変わる場合にはIRRが複数出てくるし、IRRの高い投資案件が常にNPVが高いわけでもないし、途中で利子率などが変動する場合はIRRでは対応できないなどIRRには問題点もある。
不思議とこのあたりは自然と飲み込むことが出来た。スピ問様で体得した後で過去問を解けばイケるような気がした。実はNPVの問題は本試験でも正解できていた。この段階では細かい論点はまだ整理できていないけれど、一連の計算方法やNPVとIRRの関係などは理解が進んだように思われた。
ホント、珍しく(笑)

設備投資の経済性計算については取替投資のことも考慮しなくてはならない。つまり既存の設備を売却する場合だ。既存設備を売却する場合、売却収入と売却損益を考えておかなくてはならないのだ。
売却収入はCFの増加要因だ。また、売却損益はP/Lに計上する部分でもある。そこで、売却に伴う損金が発生した場合節税効果が発生することになるという論点だ。売却損額に税率を乗じた部分が節税効果ということになる。
簡単な例で確認してみよう。
新設備の取得価額=1,000 既存設備の簿価=700 既存設備の売却見込額=600 実効税率=40%だとする。
帳簿上、既存設備700、売却見込額600より、売却損は100となる。この売却損に税率を乗じることで節税効果額だから節税効果額は40だ。
また、新規設備は1,000、売却収入は600だから400の支出。ただし、節税効果額が40あるので、設備投資に伴う支出は400-40=360で済むわけ。
実は今だから理解できているが、スピ問様をやり始めた当初は本当に理解よりも体得を優先していた。あーやって、これ出して、こーやってあれ出して、みたいな。

しかしながら実際は体得が活きた。
スピ問様を反復してやりこんだ後で過去問に着手しているが、この過去問も初見でも8割ほどできるようになっていた。無論、難易度が高い、いわゆるDランク、Eランクの問題は解けなかったが、Cレベル程度の問題であれば対応できるようなレベルになっていた。財務会計を始めて6ヵ月後のことだった。いやはや、ゼロから始めると進歩が見えるから楽しいね、とこのときは思ったものだ。

続く。