自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第22話 企業経営理論⑧ ブランド戦略

第22話であります。企業経営理論は8回目でしょうか。

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今回は製品戦略についてでございます。これはマーケティングミックスの実行に関わる部分で、ブランド戦略を含めて概観します。それでは始めます。

経済的な財には有形財と無形財がある。有形財は消費財と産業財に分けられ、無形財は消費者向けサービスと事業所向けサービスに分類できる。もちろん、財は目に見えるモノと目に見えないサービス。消費財は消費者の購買特性の違いから四つに分類できる。
① 最寄品
② 買回品
③ 専門品
④ 非探索品

これらを細かく見てみよう。
①の最寄品とは、消費者の購買頻度が高く、購買に関する意思決定時間が短い消費財。②の買回品とは、消費者の購買に際して、品質・価格などの比較に時間をかける消費財のこと。③の専門品は、高額品であり買回品よりも購買頻度が低く、品質、デザイン、性能などの比較に充分な時間をかける消費財。④の非探索品は、消費者の認知・不認知に関わらず購入することに興味を示さない消費財。
最寄品はしょっちゅう買うモノ。買回品と専門品の違いは価格の違い。さらには販売方法の違いもある。ブランド力の違いもあるね。だから、専門品は○○ブランドを買うといった選好が明確になっているわけだ。
ということで、最寄品は製品の幅が広く、品揃えが豊富なのに対して、専門品は製品の幅が狭く、深い品揃えとなり、買回品はその中間程度になるともいえる。

次は製品ライフサイクルのハナシ。ここでもコトラー先生が出てくる。コトラー先生の書籍によれば製品ライフサイクルの各段階の特徴とマーケティングのポイントについて紹介している。製品は発売段階~成長段階~成熟段階~衰退段階と段階を踏み、それぞれの局面で売上やコスト、利益、顧客の推移、競合他社の参入、当該製品の価格、チャネル、広告、販促が変化する。

企業は、製品が衰退期を迎える前に以下のような施策を実施する。
一つは「計画的陳腐化政策」であり、いまひとつは「ライフサイクルエクステンション(製品寿命の延命化)」である。
前者は、製品のモデルチェンジを頻繁に行い、常に消費者に対して新製品を提供する政策である。後者は製品寿命を延ばし、ロングセラー化を実現しようという取り組みのこと。

次はブランドについて。
ブランドにはいくつかの種類がある。
まずはブランド使用者による分類だ。ナショナルブランド(NB)とは製造業者のブランド。一方、プライベートブランド(PB)とは販売業者のブランド。PBは何も販売業者だけでなく流通業者も冠することができる。またブランドの冠し方による分類はというと、
① ファミリーブランド
② ダブルブランド
③ ブランド・プラス・グレード
④ 個別ブランド
⑤ 分割ファミリーブランド
というふうに分類が出来る。

① ファミリーブランド
 標的市場も製品ライン間のイメージ・競争地位も同質的である場合に全ての製品ラインに同一ブランドをつけること。例を挙げれば、マクドナルドやキッコーマン
② ダブルブランド
 標的市場は同質的。製品ライン間の競争地位やイメージが異質的である場合に、統一的なブランドは採用しつつも書く製品ではここのブランドを採用するというもの。 例は、キリンという会社の、キリンラガーやキリン一番絞り。
③ ブランド・プラス・グレード
 標的市場は異質的、製品ライン間のイメージ・競争地位は同質的な場合、統一ブランドを付けつつ、グレードを設定して標的市場の違いに対応する。 BMWの7シリーズ、5シリーズ、3シリーズなど。
④ 個別ブランド
 標的市場、製品ライン間のイメージ・競争地位が異なる場合に製品別に異なったブランドをつける。例は、大塚製薬のポカリ、オロナミンCカロリーメイト
⑤ 分割ファミリーブランド
 標的市場、製品ライン間のイメージ・競争地位の二つが中程度である場合に、製品ライン群を何らかの共通性で分割し、それぞれに異なったブランドを付ける。 例は、ナショナルとパナソニック(←今となっては統一ブランドになっているけれど)。

このようにみると、ブランドの冠し方は、標的市場の違い、製品ライン間のイメージや競争地位の類似性から付けられることが分かる。

続いては、ブランドの機能。覚えるだけだが、過去に何回か出題がある。ブランドの機能は、出所表示機能・品質表示機能・宣伝広告機能・資産価値機能の四つだ。
少し細かに論点に移る。
ブランド要素。これはブランド化の手段としての言語的・視覚的な情報コードのことで、ブランドネーム、ロゴ、キャラクター、スローガン、ジングル、パッケージなど。
ブランドエクイティ。一般的にはブランド知名度、ブランドロイヤルティ、知覚品質、ブランド連想、特許や商標などから構成されるとしている。メルセデスベンツといえば、皆がその名称を知っている(知名度)し、ベンツが好きならベンツを乗り続ける(ロイヤルティ)だろうし、BMWよりもベンツが好き(知覚品質)だし、金持ちが乗るクルマといえばベンツ(ブランド連想)だということだ。・・・やれやれ。

コトラー先生は四つのブランド戦略を示している。
① ライン拡張
② ブランド拡張
③ マルチブランド
④ 新ブランド
これはブランド名と製品カテゴリを軸に、既存か新かという違いで採られるブランド戦略だ。

① ライン拡張
 既に成功したブランド名を使って、特定の製品カテゴリに、風味、形、色、原材料、容器のサイズなどを変えた新製品を投入すること。たとえば、マクドナルドというブランドがあるが、マクドナルドというブランド名で○○バーガー、××バーガーなどを投入すること。同一ブランド製品同カテゴリである。
② ブランド拡張
 すでに成功したブランド名を使って、新製品や改良製品を新しいカテゴリに投入すること。ホンダというメーカーがある。ホンダというブランドで自動車や耕耘機、オートバイなどさまざまな製品を投入すること。同一ブランド製品いろいろ、である。
③ マルチブランド
 同一カテゴリでさまざまな特性を確立し、さまざまな購買動機に対してアピールする方法である。 あー、意味分からん。同一カテゴリブランドいろいろってこと。
④ 新ブランド
 新しいブランド名を創出するという方法。新ブランド新カテゴリといったところか。

ブランド戦略については少しだけ勤務先の業務と似たところがある。コトラー先生はこんなことを考えたのかぁと思うと、ホントにコトラー先生はすごいなぁと感じる。

次いでは、パッケージングだ。製品の包装や容器のデザインや制作などの活動のことだ。消費者向けに行う包装は商業包装輸送時の商品の保護や荷役のために行うのが工業包装だ。消費者向けの商業包装は、物品の保護もしくは商品価値の向上のために個々の商品ごとに行われる。だから包装も商品の一部だということも出来る。
それに対して、工業包装は衝撃や防水などの商品保護を目的とすることが多い。内装は商品保護、外装は荷役の便宜を図るなどが目的。だから興行包装の場合には、内装はあまり重視されない。

次の話題。
新製品開発プロセスについて。
新製品開発に向けたアイディアの創出として、自社の強みを利用する発想のシーズ発想と、消費者のニーズに対応するニーズ発想とがある。そこで出たアイディアは、経営理念や事業戦略、経営資源、実現性、収益性、市場性などいろんな角度から検討され、絞り込まれる。これはスクリーニングと呼ばれる。そのアイディアが潜在性の高いアイディアであればOKだが、その潜在性の高いアイディアを棄却してしまったり(ドロップエラー)、逆に潜在性の低いアイディアを採用してしまったりする(ゴーエラー)ことのないように注意する必要がある。製品コンセプトを絞り込み、と同時にポジショニングと標的市場が明確になるが、ここで製品コンセプトが不明瞭だと書く部門の行動に統一性がなくなってしまう。このコンセプトをもとに、マーケティング戦略の基本骨子を定めていく。マーケティング戦略策定後、当該新製品の経済性評価を行う。CVP分析だ。その後、試作モデルを開発し具体的な製品への落としこみが始まることになる。製品化が決定したのち、地域を限定した実験販売を実施して最終的なデザインなどさまざまな製品仕様を決定する。これがテストマーケティングだ。なお、このテストマーケティングは、競合他社に新製品を見せるというリスクも伴う。最後は市場への投入、ということになる。


ここまではそんなに難しい内容だとは思わなかった。ただただ、ややこしいものがあるなぁという程度の感想だった。

ふ~、最後だ。サービスマーケティングについて。
目に見えない財、すなわちサービスにおけるマーケティングについて焦点を当てる。
サービスは無形財だが、サービスには無形財ならではの特徴がある。
① 無形性(非有形性)
 サービスは目に見えないということ。出来ることならサービスという無形財を見える化できるとよい。
② 品質の変動性(非均一性)
 誰が、いつ、そのサービスを提供するかによって、サービスの品質が異なるということ。接客マニュアルの整備、顧客アンケート、教育訓練、業務の機械化などによる迅速性・正確性を高める必要がある
③ 不可分性
 サービスを提供するもの、提供されるものが必ずその場にいなければならない。つまり(サービスの)生産と(サービスの)消費が同時に行われる。一度に多くの消費者にサービスを提供する仕組みや、サービスを記録・保存する方法を構築する。
④ 消滅性(非貯蔵性
 生産と消費が同時に行われるため、在庫を持つことが出来ない。この消滅性への対応は大きく需要管理と供給管理に分かれる。
 需要管理の例としては、時間割引や季節割引などを導入してピーク時の需要を非ピーク時に移動させることや、非ピーク時の需要を活性化するなど、需要の平準化が該当する。また、補完的サービスを導入することで他店へ逃げられないようにするための工夫もそれに該当する。
 供給管理の例としては、ピーク時の供給を増加させるためにパートタイムの従業員を雇ったり、セルフサービスなど消費者のサービスへの参加の度合いを高めることなどが挙げられる。
⑤ 需要の変動性
 需要量が季節、週、一日の時間帯によって大きく変動する観光業や通勤通学の時間帯の公共機関などを連想すると分かりやすい。この需要の変動性に対する対応は④と同様だ。

続いてはサービスマーケティングの体系について。
まずは対社内の「インターナルマーケティング」。従業員を組織内部にいる顧客と考える。従業員の組織へのコミットメントの向上や離職率の低下を図りながら、組織の成果を高めることが目指される。
次に「インタラクティブマーケティング」。 サービス提供者が顧客に対して行うマーケティングだ。これは社内にいる営業マンが顧客に対してサービスを提供することと考えると分かりやすい。または店員さんと来店客みたいなイメージでもよいかも。また、サービス提供者をコンタクトパーソネル(CP)といい、CPの質、能力でサービスの満足度は変わる。
最後に「エクスターナルマーケティング」。 企業と顧客の間で行われる活動であり、企業が顧客に対して行う4Pを中心とするマーケティング活動のこと。伝統的なマーケティング手法である。

さらに、経験価値マーケティング。
経験価値マーケティングとは、消費者の経験を刺激するマーケティングのことで、五感、喜怒哀楽、考える、行動する、他人との交流という5つの消費者の経験領域に対して、広告・製品・ウェブなどによって、新たな経験価値を提供するものだ。4Pが合理的・客観的な方法だったのに対して、この経験価値マーケティングは、情緒的・主観的な手法を用いるところに違いが見られる

ここまで製品戦略について概観した。

続く。