自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第38話 経済学・経済政策⑩ AD-AS分析

IS-LM分析が終わると、スピ問は早くもAD-AS分析に入ってしまう。2問しかないんだけれどね。

IS-LM分析では、財市場と貨幣市場が同時均衡する利子率の組み合わせをみてきたが、このAD-AS分析は、財市場、貨幣市場、労働市場が同時に均衡する国民所得と物価の組み合わせの集合をみます。ここで労働市場と物価が登場するのだが、スピテキを含めてスピ問も少々説明が少ないように思える。少し補足しようか。

ケインズ派はAS曲線を、企業が利潤最大になるように労働需要量を決定する国民所得と物価の組み合わせの集合だとしている。ここでは古典派の第一公準を仮定している。ケインズ派は貨幣賃金の下方硬直性を仮定するので、貨幣賃金率は一定と仮定する。ゆえに物価が上昇すると、実質賃金率は下落するので、企業の労働需要量は増加する。労働需要量が増加すれば生産も増加するので国民所得も増加する。だから、AS曲線は右上がりの形状となる。
また、古典派が考えるAS曲線はもっとシンプルだ。典派においては常に完全雇用。それに賃金は伸縮的と仮定するので労働の需給は常に一致。よって、古典派が考えるAS曲線は垂直な形状となる。

AD曲線はケインズ派も古典派もへったくれもない。
AD曲線とは財市場と貨幣市場を同時均衡させる国民所得と物価の組み合わせの集合。三つのタイプに分けて考える。

1) ケインズ派通常のケース
 物価を一定、閉鎖経済を前提とし、名目貨幣供給量は一定だとする。
物価が下落したとすると、名目貨幣供給量は一定と仮定しているので、実質貨幣供給量は増加する。すると、LM曲線が右シフトし、利子率が低下する。結果、投資が増加し、国民所得が増加する。
AD曲線は国民所得と物価の組み合わせの集合だから、物価下落は国民所得を増加させることになる。ゆえに、通常のケインズ派のケースではAD曲線は右下がりの曲線となる。

2) 投資の利子弾力性がゼロのケース
 このケースはIS曲線が垂直なケースだ。1)と同様に、物価が下落すると、実質貨幣供給量が増加する。LMの右シフトがおき、利子率は下落する。しかし、弾力性がゼロなので投資は増えず、また国民所得も増加しない。これを縦軸「物価」、横軸「国民所得」の座標にトレースすると垂直なAD曲線となる。物価下落で国民所得増加せず、になる。

3) 流動性のわなのケース
 考え方は同じ。物価が下落すると実質貨幣供給量が増加(名目貨幣供給量は一定の仮定をおいている)し、LM曲線が右シフト。流動性のわなのときのLM曲線は水平だから利子率も上下しないし、国民所得も増加しない。したがって、このケースもAD曲線は垂直であることが分かる。

以上を踏まえて、スピ問は118ページだ。

資本装備率の上昇は総供給曲線を右シフトさせる。投資の利子弾力性が小さいほど、総需要曲線の傾きは急になる。財市場と貨幣市場の動きをそのままトレースしているから考え方は同じ。
古典派は、そもそも完全雇用だから非自発的失業は存在しないし、完全雇用GDPなのだから、拡張的財政政策は物価水準を上昇させるだけと考えている。ま、こういう経済政策は必要ないと考えているのだけれどね。

次は失業の分類。覚えるだけ。

労働市場
自然失業率仮説によれば、長期のフィリップス曲線は垂直になる。古典派の第一公準は、労働の限界生産力と実質賃金率が等しくなるように労働需要量を決めるというもの。フィリップス曲線名目賃金上昇率と失業率の間にはトレードオフの関係があるとした曲線。スピ問はとてもあっさりとしていた。

消費の理論。
消費の三大仮説についての出題だ。フリードマン恒常所得仮説。モジリアーニのライフサイクル仮説。デューゼンベリーの相対所得仮説。

投資理論。
加速度原理とかストック調整原理とかトービンのq理論とか。このへんもあっさりしているけれどね。

貨幣市場。ん? ここで貨幣市場か。
ケインズ派によれば利子率が低いほど流動性選好の傾向は強くなる貨幣数量説は古典派の考え。貨幣数量の増加は実体経済になんの影響も与えず、ただ増やした分だけ物価を上げるというもの(貨幣の中立性)。

古典派は名目賃金が伸縮的であると考えるから、労働市場の需給は常に一致する。古典派では非自発的失業は存在しない。また労働市場における需給が一致するところで実質賃金率が決まると考える。

ふ~、なかなか終わりませんな。