自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第43話 運営管理⑨ ポイントはIEなんすよ

今回は「IE」に関する内容になりますが、もし仮にこのエントリを読んでいらっしゃる方がいればだが、だんだん意味不明な内容に思われる方が増えてくるのではないでしょうか。専門的だし、興味のあるないで受け取り方も異なるだろうし。

IEは「経営工学」と訳されており、「経営目的を定め、それを実現するために、環境(社会環境および自然環境)との調和を図りながら、人、物(機械・設備、原材料、補助材およびエネルギー)、金および情報を最適に設計し、運用し、統制する工学的な技術・技法の体系」とJIS定義されている。
工場の生産活動を対象とした改善の技術としてのIEは、「作業研究」として発展してきている。この「作業研究」の主な柱として「方法研究」「作業測定」がある。

なお、作業は次のように分類できる。作業は主体作業と準備段取作業に分類でき、さらに主体作業は主作業と付随作業に分類できる。

また、IE(作業研究)は方法研究と作業測定に分かれ、方法研究は工程分析および動作研究とに分類できる。作業測定は稼動分析および時間研究に分類できる。
それでは順番にみていくことにしよう。

まずは方法研究だ。
方法研究とは「作業または製造方法を分析して、標準化、総合化によって作業方法または製造工程を設計・改善するための手法体系」とJIS定義されている。この定義より、方法研究は、工程分析動作研究に分けられる。

<方法研究>
1.工程分析
 1-1 工程分析
   A 単純工程分析
   B 詳細工程分析
       B-1 製品工程分析
       B-2 作業者工程分析
   C 配置、流れ分析
       C-1 流れ線図
       C-2 単純工程分析
       C-3 多品種工程分析
       C-4 フロムツーチャート
 1-2 運搬分析
   A 運搬工程分析
   B 運搬活性分析
   C 空運搬分析
2.動作研究
 2-1 作業系列
   A 人・機械分析
   B 組作業分析
 2-2 動作研究
   A 分析手法
       A-1 サーブリック分析
       A-2 両手動作分析
   B 観察方法
       B-1 メモモーション分析
       B-2 マイクロモーション分析
       B-3 VTR分析

カンタンにここの手法を確認していこう。

1-1 工程分析
 まずはJIS定義から。「生産対象物が製品になる過程、作業者の作業活動、運搬過程を系統的に、対象に適合した図記号で表して調査・分析する手法」のこと。
だからまずポイントになるのは“図記号”だ。工程図記号は要素工程を四つに分類し、それぞれ「加工」「運搬」「停滞」「検査」に分けて記号化している。なお、加工以外は付加価値を生まない要素となるので、付加価値を生まない加工以外は改善する必要が出てくるというわけだ。

1-1 A 単純工程分析(オペレーション・プロセスチャート)
 原材料、部品がプロセスに投入される点およびすべての作業と検査の系列を表現した図表のこと。つまり、「加工」と「検査」だけに注目して図表化することだ。診断試験では、漢字表記とカタカナ表記があったとき、カタカナ表記で出題される傾向が強い気がする。

1-1 B-1 製品工程分析
 JIS定義はともかく、ここでは「流れ線図」が用いられる。この製品工程分析は“製品化されるところまで”にフォーカスしている。
 流れ線図とは、設備や建物の配置図に工程図記号を記入したもの。各工程図記号の位置関係を示す。人や物のムダな動きなどを分析する手法。

1-1 B-2 作業者工程分析
 ここでは作業者を中心に作業活動を系統的に工程図記号で表して調査・分析する。製品工程分析と同じ工程図記号を用いて記述する。作業者の活動を分析するから、この作業者工程分析は、主に作業台のレイアウト、作業手順や作業動作などの改善を目的として行われることが多い。

1-1 C-3 多品種工程分析(加工経路分析)
 工程経路の類似した製品や部品などのグループ化するため、工程経路図を作成して分析すること。SLPのところで出てきたね。

1-1 C-4 フロムツーチャート(流出流入図表)
 多種少量生産の職場における、機械設備や作業場所の配置計画をするときに用いられるツール

1-2 運搬分析
 工程で物を作る際には、物の移動や運搬は必ず発生する。先にも述べたように、加工以外は付加価値を生まないので通常はロスとして取り上げられる。とはいえ、最低限の移動は必要となってくるので、いかに効率的な運搬の仕組みを作るかがポイントになりそうだ。

1-2 A 運搬工程分析
 運搬工程分析は、観測対象となる品物が加工され製品へと流れていく過程(工程系列)を系統的に調べ、「図表」や「運搬分析の基本記号」を用いて記録し、分析・検討する手法のこと。基本記号、台記号、移動線が使われる。

1-2 B 運搬活性分析
 運搬活性とは、対象品の移動のしやすさであり、単に活性ともいう。運搬活性分析とは、活性の維持という観点から、品物の置き方や荷姿について分析・検討する手法。「活性示数」という数字を使って運搬状況を分析する。
 なお、示数の意味は、置かれている品物に対して、移動するための四つの手間のうち、すでに省かれている手間の数をいう。手間の数は、少ないほどよいので活性示数は値が大きいほどよいことになる。

1-2 C 空運搬分析
 空運搬とは、品物の移動を伴わずに、人や運搬機器のみ移動することをいう。「空運搬係数」を用いて、運搬の状態を分析・検討して空運搬を減少させる狙いで行うのが空運搬分析だ。空運搬係数はゼロになるべきであるが、通常改善を行うときは、係数を2以下にすることを目標とするのが望ましいとされている。

補足。

マテハンというワードがある。これは「マテリアルハンドリング」のことであるが、物の移動、積み下ろし、取り付け、取り外し、納める、蓄える、取り出すなど、一貫した物品の取り扱いのことをいう。

ECRSの原則による改善。分析の基本は、加工以外は付加価値を生まない工程なので削減するという考え方にある。
運搬は経路短縮や運搬回数削減、自働化を図ることで改善につなげる。
検査は不要な検査を廃止したり、方法改善、自働化
停滞は適正在庫の見直しや作業方法・保管方法を改善する。

ここまで工程分析の詳細をみてきたが、結構たくさんあって、これぞ暗記科目、みたいなイメージがする。
とにもかくにもこれらは実現場をイメージしながらアタマに入れようとすることで少しずつ理解していけるだろうと思っていた。
本試験ではあまりIEは出題がなかったけれど、IEは覚えることで得点につながる分野でもある。

続く。次回は動作研究。