第53話 運営管理⑭ 生産管理編の終わり
はたして終わるのだろうか? まだ店舗管理にも入っていないけれど?
たぶん、今回は生産管理分野の最終回です。今回は三文字のアルファベットが多いです。コンランしそうになります。
まずは生産情報システムから。
製品開発で使う生産情報システムから始める。
<CAD>
製品の形状その他の属性データからなるモデルをコンピュータの内部に作成し、解析・処理することでによって進める設計。
1) ワイヤーフレームモデル
・3次元の立体を頂点と稜線で表現したモデル(針金細工のイメージ)
・高速表示可能
・立体面表示、体積、重心の計算は不可
2) サーフェスモデル
・立体を面データの集合で表したモデル(中身が風船のイメージ)
・曲面の情報も持っている
3) ソリッドモデル
・立体の表現が可能
・中身の詰まった立体のモデル(粘土細工のイメージ)
・体積や重心の計算、部品間の干渉チェック、構造解析など可能
その他のCAD用語としてパラメトリックデザインとかいうのもある。
<CAM>
コンピュータ支援生産とも呼ばれ、コンピュータの内部に表現されたモデルに基づいて生産に必要な各種情報をを生成すること、およびそれに基づいて進める生産の形式。
CAMは当初、CADとは独立にNC工作機のための自動プログラミングシステムとして発展してきたが、現在ではCAMで必要とする形状データをCADから直接取り込めるようになり、設計から製造までの情報を統合することで一貫した支援が出来るようになった。
<CAE>
製品を製造するために必要な情報をコンピュータを用いて統合的に処理し、製品品質、製造工程などを解析評価すること。設計データに基づく製品のシミュレーションを行うシステム。製品の安定性、強度、干渉、品質、性能などを事前に評価するもの。
CAMは、CADで作成した形状データを、NC工作機械加工など生産に必要な工程データに変換するもの。3次元CADのデータを直接にNC工作機械に読み込ませることが出来るわけではなく、CADのデータをCAMによりNC加工機械に使えるようなデータに直すといったイメージ。
<PDM(製品情報管理システム)>
Product Date Management 。CADデータも含めた製品情報と開発プロセスを一元的に管理するシステムのこと。
一元管理することで複数部門による製品関連情報の共有化が実現され、これはコンカレントエンジニアリングにつながる。
<CE(コンカレントエンジニアリング)>
製品設計と製造、販売などの統合化、同時進行化を行うための方法。
各工程の情報が中途段階で即座に多工程に伝達されると同時に、他工程からのフィードバックがなされることにより、開発リードタイムの短縮や製造コストの削減につながり、生産効率が向上する。
<自動製造システム>
端的に自動製造システムの発展を示す。
個々の工程の自動化 → 工程のかたまりの自動化 → 工程全体の自動化 → 工場全体の自動化 → 企業全体のシステム化
それぞれに関わる製造システムを紹介する。
1.NC工作機械
NCとは数値制御のことで、工作物に対する工具経路、加工に必要な作業の工程などを、それに対応する数値情報で指令する制御のこと。
NC施盤やNCボール盤などがある。
2.CNC(コンピュータ数値制御)
コンピュータを組み込んで、機械機能の一部または全部を実行する数値制御のこと。
3.DNC(分散系数値制御)
生産管理コンピュータと数値制御システムとの間でデータを分配する階層システム。
4.MC(マシニングセンタ)
多数の工具を工具保持用マガジンに装備し、加工情報に応じて必要な工具を選び、その工具をATC(自動工具交換装置)により1回の段取り作業により、多数の異なる種類の作業を自動的に行う、数値制御多機能工作機のこと。ATCは通常20~70の工具をマガジンに装備しておき、必要な工具を自動的に取り外す機能を持っている。
5.FMC(フレキシブル加工セル)
NC工作機械や産業用ロボットなど個々の工程・作業を行う機械を組み合わせたもの。
6.FMS(柔構造製造システム)
生産設備の全体をコンピュータで統括的に制御・管理することによって、類似製品の混合生産、生産内容の変更などが可能な生産システムである。多品種少量生産を効率的に行うために発達した柔軟性の高い生産システム。
7.AGV(無人搬送車)
無人の搬送装置。搬送のための占有スペースが不要で、設備レイアウト変更にもフレキシブルな対応が可能。経路上に磁気テープや反射テープを貼り、あらかじめ軌道を決めておく固定経路方式と、自身の位置を認識して移動する無固定経路方式がある。
8.FA(Factory Automation)
FMSはあくまでも生産のためのシステムだが、FAは工場で発生する間接業務までも対象にした自動化、システム化のこと。
9.CIM(Computer Integrated Manufacturing)
受注から製品開発・設計、生産計画、調達、製造、物流、製品納品など、生産に関わるあらゆる活動をコントロールするための生産情報をネットワークで結び、さらに異なる組織間で情報を共有して利用するために一元化されたデータベースとして、コンピュータで統合的に管理・制御するシステム。
FAが工場レベルだとすると、CIMは企業全体レベルでの業務を対象にしている。
次のテーマは製造業にフォーカスした情報システムを紹介する。
<SCM(サプライチェーンマネジメント)>
資材供給から生産、流通、販売に至る物またはサービスの供給連鎖をネットワークで結び、販売情報、需要情報などを部門間または企業間でリアルタイムで共有することによって、経営業務全体のスピードおよび効率を高めながら顧客満足を実現する経営コンセプト。
SCMの目的は、キャッシュフローマネジメントを実現するとともに、最新の情報技術やERPシステムなどを活用し、市場の変化に対してサプライチェーン全体を俊敏に対応させることである。これにより、部門間や企業間における業務の全体最適化を図ることが出来る。部分最適、よりも全体最適ということ。
<MRPの発展>
SCMを実現するためにはIT化が必須である。
そもそもMRPは生産能力は無限と仮定したため、生産能力の不足に対する備えがなかった。
その後、クローズドループMRPが登場し、フィードバック機能と、生産能力と作業負荷のシステム(CRP)が付加された。
さらにMRPⅡが登場し、生産に必要な資材と資源の療法を計画し、生産の実施をサポートするようになった。MRPⅡはMRPの機能を財務会計情報とリンクさせることにより、経営計画との連携を可能にした点で特徴がある。
そしてERP、SCMへと発展する。ERPとは、販売・在庫管理・物流の業務、生産管理または購買管理の業務、管理会計または財務会計、人事管理などの基幹業務プロセスに必要なそれぞれの機能を、あらかじめ備えたソフトウェア群である統合業務パッケージを利用して、相互に関係付けながら実行を支援する総合情報システムである。
また、SCMは、MRPⅡに、生産計画やスケジューリングなどの計画業務の統合化あるいは密な連携を図ることで、市場の要求に柔軟に対応しながら企業の利益最大化を図るためのシステムを加えたものである。
なんだか最後のほうはスピテキを写経しただけのようになってしまった。
これで生産管理分野は終わり。次回からは店舗販売管理編に入る。