自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第55話 運営管理⑮ 店舗管理編です

今回から店舗・販売管理編に突入です。長かったなぁ。店舗管理1回目であります。

店舗管理は最初は捨て論点から始まるのだけれど、途中から知っていると役に立つような内容が出てきます。消費者でもある私たちが知っていて損はない内容だと思うのであります。ですので、少しでもお役に立てる内容になればと思っている次第でございます。

まずは店舗施設に関する法律的な知識から始めてみます。

まちづくり三法
 まちづくり三法、という法律はないのですが、三つの法律を総称して言います。具体的には、大規模小売店舗立地法中心市街地活性化法、改正都市計画法の三つを指します。平成10年から12年にかけて整備・施行された法律ですね。

大規模小売店舗立地法
 その昔、大店法とか呼んでいましたがその大店法とは異なります。まちづくり三法で言うのは大店立地法であります。平成12年に施行されています。詳細は後述しますね。

中心市街地活性化法
 市町村や区が中心市街地の活性化を目的とした関連施策を総合的に実施するための諸制度を体系化した法律。平成18年に施行されています。これも詳細は後述。

都市計画法
 ころころ改正されているようなイメージがありますが、平成18年に改正法が施行されています。小売業を含む諸施設の立地コントロールを強化するために改正されました。詳細は後ほど。

これらまちづくり三法は数回改正されていますが、その背景について記します。

そもそも大規模小売店舗法大店法)は中小企業の保護を目的に制定されました。のちにこの法律は廃止となり、大規模小売店舗立地法の制定になったのですが、これが大型店舗の郊外出店を加速させる形となり、中心市街地の機能を低下させることになったわけです。郊外に大型店が立つわけですから中心市街地(たぶんイメージは商店街なんでしょうけどね)は空洞化します。そのため、中心市街地活性化法が制定され、さらに市町村が独自に都市計画地域の用途を決定できるように都市計画法が改正されました。
これらの改正で市町村のまちづくりが有効に推進されるだろうと思っていたけれど、なかなかそうはうまくいかないわけだ。

結果的にこのまちづくり三法は期待された効果が得られず、中心市街地の空洞化はますます進行してしまいました。その要因としては、出店等の審査基準から、中心市街地よりも郊外のほうが大型店の出店が容易であったため。また市町村にとってみれば出店に伴う税収や雇用の確保は中心市街地だろうと郊外だろうと変わらないから(笑)、郊外への出店を是としたわけですね。
また、自動車の普及などモータリゼーションの進展を背景に郊外への出店はどんどん加速していったわけですが、これは必然ともいえますよね。
しかしながら中心市街地の空洞化は自動車を持たない層や高齢者が買い物弱者になってしまうことから何か対策が必要になったわけで、高齢化社会を迎える前に既存の社会資本ストックを有効利用しつつ、都市機能を集約したコンパクトなまちづくりに舵を切ったというのが背景となっています。

以上を踏まえて、まちづくり三法を具体的に紐解いてみます。

1.大規模小売店舗立地法
大店立地法の目的>
 カンタンに説明すると、「周辺地域の生活環境の保持」のためだそうです。
大店立地法の対象>
・小売業に飲食店は含まれません。
・物品加工修理業は含まれます。
・営利目的かどうかは問わないため、生協や農協は含まれます。
<店舗面積>
 建物内の店舗の用に供される床面積の合計が1,000㎡を越える店舗が対象です。

なお、階段やエスカレーター、エレベーターなどは床面積に含みません。
大店立地法関連のその他>
 大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき事情として次のような事柄を挙げている。
・周辺地域についての調査
・住民への適切な説明
・回転後における適切な対応
んー、かなり大雑把ですよね。

2.中心市街地活性化法
<同法の目的>
 カンタンにいうと、「地域の振興および秩序ある整備を図ること」を目的にしているらしいですね。
<改正法の要点>
・国および自治体は、中心市街地の活性化について施策を策定し実施する責務を負うこととした、ですって。
・市町村の基本計画を内閣総理大臣が認定することとなりました。
・中心市街地活性化本部を内閣に設置します。
・商工会、商工会議所が中心とした中心市街地活性化協議会を創設することに。
選択と集中の考えに基づいた支援措置を拡充しました。

3.都市計画法
<同法の目的>
都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること」が目的。
都市計画区域
都道府県が指定します
・指定した地域は「都市計画区域」になります
・さらに都市計画区域は、市街化区域と市街化調整区域との区分を定めるかどうかで線引き都市計画区域か非線引き都市計画区域とに分類されます。つまり、線を引いた場合のみ市街化区域という区分が出来ることになります。

<市街化区域>
・既に市街地を形成している区域
おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
 ※「おおむね10年」というところが狙われそうですな。
<市街化調整区域>
・市街化を抑制すべき区域
 ※「抑制すべき」ってところがポイントですね。
用途地域の種類>
・第一種低層住居専用地域は高級住宅街のイメージ。自宅兼用店舗以外の店舗はダメ
・第二種低層住居専用地域は、第一種より少し緩んで150㎡以下の店舗ならOK
・第一種中高層住居専用地域は、500㎡までOK
・第二種中高層住居専用地域は、1,500㎡以下までOK
・第一種住居地域は、パチンコ屋はダメ。危なくない町工場はOK
・第二種住居地域は、映画館はダメ
準住居地域は、大型の映画館はダメ。危なくない工場ならOK
・近隣商業地域は、風俗営業法に該当するものはダメ。バカデカい工場もダメ。爆発の可能性のある施設もダメ
・商業地域は、風営法に該当するものはOK。バカデカい工場、爆発可能性のある施設はダメ
準工業地域は、風営法該当、危ない工場、爆発可能性のある施設以外はOK
・工業地域は、人が多く集まる学校とか施設はダメ
・工業専用地域は、コンビナートが建っているところのイメージ
・白地地域は、大規模小売店舗以外はOK

<改正の要点>
・10,000㎡を超える大規模集客施設が立地できる用途地域を商業地域、近隣商業地域、準工業地域に限定
・非線引き白地地域への大規模集客施設は立地不可
・これまで開発許可が不要だった社会福祉施設、医療施設、学校の建築が許可制になったこと
・同様に、国・都道府県が行う開発行為も開発許可が必要になりました

ここまで店舗施設に関する法律知識を概観しましたが、
基本的には捨て論点にする人が多いテーマです。最低限の内容を押さえておいて、それが出題されればラッキーみたいなスタンスでいるのがよいようですね。
法律関係は細かく出題しようと思えばかなりディープな内容まで出題できますから、そういったところに時間とコストをかけるのは得策ではありませんです。費用対効果を考えますと、鉛筆コロコロがよいのではないでしょうかね。

次回は、店舗の立地条件と商圏について触れます。