第58話 経営法務⑨ 株式会社
株式会社の設立から始めます。まだまだ会社法は続くんですね。先は長いです。
株式会社の設立は設立登記がなされてはじめて法人格が付与される。
次に株式会社の設立手続きをみてみよう。
株式会社の設立には発起設立と募集設立とがある。
<発起設立>
株式会社の設立に際して発行する株式の全部を発起人が引き受けて設立すること
<募集設立>
発起人が株式の一部を引き受け、残りの株式については新たに株主になるものを募集して設立すること。募集設立では創立総会が開催される
発起人は自ら作成した定款に署名し、公証人の認証を受ける。設立した際の株式総数のうち最低1株は引き受けなければならない。
●株式会社の設立 → 発起人が定款作成。公証人の認証必要。最低1株を持つ
定款とは会社の根本規則のことで定款に載せないと定款そのものが無効になる事項がある。
<定款に記載しなければ定款全体が無効になる事項>
①目的 → 会社の事業内容のこと
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
⑤発起人の氏名または名称および住所
なお、設立に際して出資される価額または最低額には制限がない。つまり1円でも設立は可能。
また、発行可能株式総数とは、株式会社が発行することができる株式の総数のこと。
発行可能株式総数は、設立登記までに定めればよいこととなっている。
<定款に記載しないと効力を発揮しない事項>
①株式会社の種類とか機関の設置に関すること
②変態設立事項
1)現物出資をする者の氏名・名称、当該財産、価額
2)株式会社の設立後に譲り受ける財産引受
3)発起人が受ける報酬など
4)設立費用
※現物出資は発起人に限られる。発起設立でも募集設立でも発起人であれば現物出資は可能
●現物出資 → 発起人に限り、発起設立でも募集設立でも可
また、定款に変態設立事項がある場合は検査役の調査が必要となる。
なお、次の場合は検査役の調査は不要となる。
①現物出資等の価額の合計が500万円以下
②市場価格のある有価証券の価額が、時価を超えないこと
③定款に定められた現物出資の価額が相当であるとして、弁護士・弁護士法人・公認会計士・監査法人・税理士・税理士法人の照明を受けた場合。不動産の場合は不意動産鑑定士の評価が必要
持分会社を含む会社の公告方法は官報、日刊新聞紙、電子公告の3つがあり、当該会社が任意に選ぶことができる。ただし、公告方法について定款に定めがない場合は官報による公告が強制適用される。日刊新聞紙や電子公告で公告をしたい場合にはその旨を定款に記載しなければならない。
●公告方法 → 定款に定めれば日刊新聞紙または電子公告可
定款に定めがないとき、官報での公告
定款は会社の根本規則だから、定款の変更には株主総会での特別決議が必要。
●定款の変更 → 株主総会特別決議
会社設立には発起設立と募集設立の二種類がある。発起人はいずれも現物出資が可能だが、募集設立の場合、発起人以外は財産出資のみとなっている。募集設立では不特定多数の株式引受人が関わるため、これらのものが不正に出資金を流用することを防止する目的で払込金保管証明が必要とされる。発起設立では不要。
●募集設立 → 発起人以外の財産出資は払込金保管証明必要
今回はここまで。
次回は株式についてですが、これがまた長くなりそうだ。
続く。