第62話 経営法務⑪ 新株予約権と社債
今回は『新株予約権』と『社債』についてやりまっせ。
会社法って好きな人にはよいのだろうけれど、キライな人には苦痛なんだろうね。診断士を目指す人は会社にかかわりがある人が多いと思うからこのあたりを苦手とする人は少ないのではないかなと思う。
1.新株予約権
株式会社に対して行使することにより当該株式の交付を受けることができる権利のこと。 新株予約権を付与された者を新株予約権者といい、新株予約権者が権利を行使したら株式会社は株式を交付する義務を負う。ストックオプションが典型例であり、敵対的買収への防衛としても注目される。
①新株予約権の発行
基本的に募集株式と同じ。
●通常の新株予約権 → 譲渡制限会社:株総特決 公開会社:取締役会決議
●有利発行 → 譲渡制限会社も公開会社も株総特決
②新株予約権証券
発行は任意。
③新株予約権買取請求権
新株予約権発行後に新株予約権の内容が変更になった場合、新株予約権者に不利益が生じる可能性があるので、新株予約権者は株式会社に対して新株予約権の買取を請求することができる。買い取った株式会社は自己の新株予約権をもつことになるが、新株予約権を行使することはできない。
④新株予約権無償割当
株主に対して、新たな払い込みをさせないで当該株式会社の新株予約権を割り当てること。ライツ・イシューともいう。
株主に不利益が生じないので株総普決でOK(取締役会設置会社は取締役会決議)。
2.社債
会社法に規定により会社が行う割当により発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、募集社債に関する事項の決定についての定めに従い償還されるもの。
社債は株式会社に限らず、持分会社でも発行することが可能。社債券の発行は任意。
①社債の発行
株式会社は取締役会決議で社債を発行することができる。また指名委員会等設置会社は執行役に委任することができる。取締役会不設置会社では特段の規定がないため、定款の定めがある場合を除いて取締役の決定となるが、特定の取締役に委任することも可能である。
●社債の発行 → 取締役会決議
②社債の種類
・普通社債
・新株予約権付社債 → 新株予約権を付した社債。
(a) 転換条項付;新株予約権を行使すると社債は償還されて株式が交付される
(b) 転換条項なし;新株予約権を行使しても社債はそのままで株式が交付される
※新株予約権付社債は、新株予約権と社債を分離して譲渡することができない
※新株予約権付社債の発行は、新株予約権の規定が適用される
3.社債管理者
社債を発行する会社から委託を受けて社債権者のために弁済の受領、債権の保全その他の社債管理を行う機関。銀行、信託会社などが社債管理者になれる。
会社が社債を発行する場合、原則として社債管理者を定め社債の管理を委託しなければならない。ただし、各社債の金額が1億円以上である場合、社債が50口未満の場合は委託しなくてもよい。
4.社債権者集会
社債権者の利益保護のために認められる社債権者からなる合議体のこと。社債権者集会の決議は裁判所の認可がなければ効力を生じない。
ここはつまらん。続く。