自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第64話 経営法務⑫ 資本金とか配当とか

診断士試験で法務を学習してもしょせん法律の専門家ではないので知識を得ているに過ぎないんだよね。診断士は究極のゼネラリストだから広く“浅く”知っているだけの存在なのではないかと思う。診断士は法律問題を解決することはできないから、法律紛争が生じた場合には弁護士を紹介することになる。
診断士は独占業務を持たない。いいことなのか悪いことなのか分からないけれど、そういう資格を得ようとしているのが著者だ。

今回は「計算」について。

計算とは、株式会社の利益や財産の算定、財務内容の開示などに関する規定のこと。

1.資本金および準備金

 株式会社の資本金の額は、原則として設立または株式の発行に際して株主にとなる者が当該株式会社に対して払込または給付をした財産の額となる。ただし、株式会社は、払込または給付に係る額の2分の1を超えない額を資本金として計上しないことができる。この場合は資本準備金として計上しなければならない。

 ●払込または給付に係る額 → 資本金
 ●2分の1を超えない額 → 資本準備金として計上できる

なお、最低資本金に関する制限はない。資本金の額は登記事項である。

2.減資(資本金の額の減少)

 株式会社は資本金の額を減少することができる。0円まで減資することが可。
 減資には次のような規定がある。
 株主総会特別決議が必要
 ②債権者保護手続きが必要
 これらは株主および会社債権者保護の観点から規定を設けている。

①-1 株主総会での決議
減資は、原則株総特決が必要。ただし、以下のいずれに該当する場合は普決でOK。
 ・定時株主総会の決議であること
 ・減資を行った後に分配可能額が生じないこと(いわゆる欠損てん補目的)
 ※分配可能額が生じると株総特決必要
①-2 取締役会での決議
株式の発行と同時に減資をする場合、当該発行によって生じる資本金の額が当該減資の額を下回らない場合
②債権者保護手続
債権者保護手続は省略できない。債権者保護手続きとは、官報に必要な事項を公告し、かつ知れている債権者に対する個別の催告(通知)を義務付けた手続きのこと。

 ●減資 → 株総特決
 ●定時株総での減資の議決 → 普通決議
 ●欠損てん補目的の減資 → 株総普決

3.準備金の額の減少

 準備金(資本準備金または利益準備金)を減少する場合は、減資の場合と異なり、株総普決が原則
 ただし、株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該発行によって生じる準備金の額が当該準備金の額の減少する額を下回らない場合には、取締役の決定または取締役会決議でOK。

 ●準備金 → 資本準備金利益準備金
 ●準備金の減少 → 株主総会普通決議

 準備金の額を減少する場合でも債権者保護手続は必要。
 ただし、減少する準備金の額を全部を資本金に組み入れるとき、定時株主総会の決議によって欠損てん補目的で行う場合には債権者保護手続は不要となる。

 ●準備金の減少 → 債権者保護手続必要
 ●減らした準備金全額を資本金に組み入れる場合 → 債権者保護手続不要
 ●定時株主総会の決議で欠損てん補目的 → 債権者保護手続不要

4.配当

 次は株主に対する配当についての規定。配当は剰余金をもって行う。剰余金は資本剰余金、利益剰余金、繰越利益剰余金をさす。
①配当手続
株式会社は、原則として、株主総会の普通決議により1事業年度中いつでも、何回でも剰余金の配当をすることができる。

 ●株総普決 → いつでも何度でも配当可

取締役会設置会社においては取締役会決議によって1事業年度中1回に限り中間配当(金銭に限る)をすることができる旨定款に定めることができる。

 ●取締役会決議 → 定款に定めることで1回に限り金銭で中間配当可

 また、金銭以外の配当を現物配当という。現物配当は、株主に対して金銭分配請求権を与える場合には株総普決で可能だが、金銭分配請求権を与えない場合には株総特決が必要となる。なお、株式等を配当にすることはできない。
 配当は無制限に行えるわけではなく、純資産額が300万円を下回る場合には配当を行うことはできない。また分配可能額を超えて配当をすることもできない。

5.計算書類等

 取締役(取締役会設置会社においては代表取締役または代表執行役)は、決算にあたり、事業内容と財産を明らかにするために、各事業年度に係る計算書類および事業報告ならびに附属明細書を作成し10年間保存(事業報告除く)しなければならない。

 ●計算書類 → 貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書 個別注記表
 ●計算書類等 → 貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書 個別注記表 事業報告 附属明細書

会計参与は事業報告を除く各書類を取締役と共同して作成しなければなりません

 計算書類等の監査について。
 原則として、監査役設置会社は、計算書類等について監査役の監査を受ける。監査後は取締役会で承認を受ける必要がある。計算書類は原則、株主総会で承認を受けなければならない。

 監査役設置会社 → 計算書類等の監査をする。その後取締役会で承認必要
 ●株主総会での承認 → 計算書類

 各事業年度に係る計算書類等は、定時株主総会の日の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日から、本店に5年、写しを支店に3年、株主および債権者の閲覧等のために備え置かなければならない。

 次に計算書類の公告(決算公告)について。
 株式会社は、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表を公告しなければならない。大会社は貸借対照表および損益計算書を公告しなければならない。ただし、電子公告以外の公告(官報または日刊新聞紙)による場合は、全文ではなく要旨で足りる。
 なお、金融商品取引法の規定に基づく有価証券報告書の提出会社は決算公告は不要。

 ●大会社以外 → 定時株主総会終結後遅滞なく、貸借対照表を公告
 ●大会社 → 貸借対照表および損益計算書
 ●公告 → 電子公告は全文。官報および日刊新聞紙はその要旨
 ●有価証券報告書の提出会社 → 決算公告不要

 期中配当のために、臨時で計算書類が作成されることがある。基本的には決算期の計算書類と同じ。原則として、監査役の監査や取締役会、株主総会での承認が必要。

計算について、おしまい。
長いなぁ。
まだ会社法だし。

続く。