自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第68話 経営法務⑭ モチブン会社とは?

その昔「有限会社」という名称がありました。現在では新たに有限会社の設立はできません。有限会社法にもとで設立された有限会社のうち、株式会社に移行していない有限会社を特例有限会社といい、現在でも有限会社を名乗ることが認められています。株式会社には株式会社のメリットがあり、でもその代わりに煩わしい手続等もありますね。有限会社には有限会社なりのメリットがあって、でも世間的に「株式会社ではない」といった目で見られていたという事実もありましたね。
でも今日では有限会社は設立することはできませんから、有限会社に代わり新しい会社形態ができています。
今回はそういった新しい形態の「持分会社」についてみていきます。

持分会社とは、合名会社・合資会社合同会社の総称。「持分」とは株式会社における「株式」にあたるもので、出資者の地位を表します。

 持分会社 → 合名会社・合資会社合同会社の総称

持分会社も定款の作成が必要。ただし、公証人による認証は不要。現物出資等にかかる検査役の調査も不要。設立登記することによって成立する。

 持分会社 → 定款必要、公証人の認証と検査役の調査は不要

持分会社は定款に定めることで自由な機関設計が可能だ。会社ごっこができないっつうことかね(笑)

次から持分会社について詳細にみていきましょう。

1.合名会社

 合名会社は、直接無限責任社員のみからなる会社。直接無限責任なので個人財産を含めて弁済することになるので出資者自ら経営に携わるといったイメージだ。定款に定めがある場合を除いて、合名会社の社員は業務執行役員ということになる。
 合名会社の出資は財産以外にも、信用・労務による出資が認められている。持分の譲渡には社員全員の承諾が必要。

 ●合名会社 → 直接無限社員。財産・信用・労務出資可

なお、財産出資には現物出資も含まれ、信用出資は物的な担保提供などによる出資、労務出資とは労働の提供による出資のこと。

2.合資会社

 合資会社は、直接無限社員以外に、直接有限社員が存在する会社つまり社員が2人以上存在することになる。

 合資会社 → 直接無限社員と直接有限社員が存在

直接無限社員は、合名会社同様に、財産・労務・信用による出資が可能だが、直接有限社員は財産出資しか認められていない。また、直接無限社員は「直接無限責任」を負うので業務執行社員になるが、直接有限社員は必ずしも業務執行社員になるわけではない。業務を執行しない直接無限社員の持分の譲渡は、業務執行社員全員の承諾が必要となる。

 合資会社 → 直接無限社員の出資は財産・信用・労務
        直接有限社員の出資は財産のみ

 合資会社は少なくとも社員が2人以上存在する会社であり、直接無限社員と直接有限社員が存在する会社である。だから合資会社は社員が1人になると、合資会社でなくなる。直接無限社員が残った場合は合名会社に、直接有限社員が残った場合には合同会社となる定款変更があったとみなされる。

 ●直接無限社員のみになった合資会社 → 合名会社となる定款変更があったとみなされる
 ●直接無限社員のみになった合資会社 → 合同会社となる定款変更があったとみなされる

3.合同会社

 合同会社はアメリカのLLCを参考に会社法により創設されたので、日本版LLCともいう。
 合同会社有限責任社員のみからなる持分会社株式会社と同様に有限責任しか負わず、設立手続は株式会社よりも簡素。また、合同会社では、有限責任社員しか存在しないため、株式会社同様に財産出資に限られる。また設立登記までに財産出資の全部履行が求められるため、合同会社の社員は間接有限責任となる

 合同会社 → 日本版LLC。社員は間接有限責任
        出資は財産出資のみ。設立登記までに全部履行する
 ●合名会社 → 無限責任社員のみ
   合資会社 → 無限責任社員有限責任社員の双方
   合同会社 → 有限責任社員のみ

当然に持分の譲渡は、合名・合資会社と同じで他の社員全員の承諾が必要となる。

持分会社についての項、終わり。

次回は会社法最大の山場、組織再編について。

続く。