自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第76話 経営法務⑱ 民法組合

今回は会社法に関するその他の知識について整理したいと思います。

まずは契約を基礎とする組合というのがあります。民法組合といいますね。各当事者が出資をして共同で事業を営むことを約する契約により設立された組織民法組合というのです。この民法組合には法人格はないです。

 民法組合 → 法人格ナシ

次はLLP。
LLPは有限責任事業組合といいます。個人または法人が出資して、それぞれの出資の価額を責任の限度として共同で営利を目的とする事業を営むことを約し、各当事者がそれぞれの出資にかかる払込または給付の全部を履行することによって、その効力が生ずる契約のことをいいます。
これは民法組合の特例という位置づけなので、民法組合同様に法人格はありません。それに名前のとおり、有限責任制を採っていますので出資の範囲内でしか責任を負いません。ただし、第三者に対抗するためには登記が必要です。また、この有限責任事業組合そのものには課税されず、構成員たる出資者に直接課税されます。これをパススルー課税といいますね。

 有限責任事業組合 → 法人格ナシ。パススルー課税

次は投資事業有限責任組合です。
各当事者が出資を行い、共同で株式の取得等の事業の全部または一部を営むことを約する契約。これも民法組合ですね。これは透視するための組合であり、いわゆるファンドと呼ばれています。
 投資事業有限責任組合は業務執行を行わない組合員は有限責任、業務を行う組合員は無限責任となります。LLPと同じように第三者に対抗するためには登記が必要です。民法組合なので法人格はありません。

 投資事業有限責任組合 → 法人格ナシ。ファンド業務執行社員無限責任

一方で、法人格を有する組合もあります。
中小企業等協同組合です。これは規模の小さい中小企業が経営資源の相互補完を図るために相互扶助の精神に基づいて組織化し、協同して事業を行う組合のことです。根拠法は「中小企業等協同組合法」です。法人格をもち、組合員の責任は有限責任です。
中小企業等協同組合法に基づく、法人格を有する組合には事業協同組合、企業組合があります。また、中小企業団体の組織に関する法律に基づく協業組合、商工組合など、商店街振興組合法に基づく商店街振興組合などがあります。

 ●法人格あり → 事業協同組合、企業組合、協業組合、商工組合、商店街振興組合など

よく耳にする「農協(今はJAとか言うんでしたね)」や「生協」なんかは協同組合です。

次は組織変更について触れてみましょう。
個人事業者が会社などの法人になることを「法人成り」といいます。
また、株式会社から持分会社持分会社から株式会社への組織変更は原則として自由です。
株式会社から持分会社に組織変更するためには、組織変更計画を作成し、総株主からの同意が必要です。また債権者保護手続も必要です。総株主の同意が必要なため、反対株主に与えられる株式買取請求権はないです。
持分会社から株式会社への組織変更は、組織変更計画を作成し、総社員の同意、債権者保護手続が必要です。
なお、持分会社間の変更も原則として自由。これは種類変更といいますが、総社員の同意による定款変更によって種類変更ができる。

 ●株式会社から持分会社 → 原則自由
 ●持分会社から株式会社 → 原則自由
 ●持分会社間での種類変更 → 原則自由

次は組合の組織変更についてです。
法人格をもつ組合のうち、事業協同組合、企業組合、協業組合は株式会社への組織変更ができます持分会社への組織変更はできません。他の組合は株式会社への組織変更はできません。

 事業協同組合、企業組合、協業組合 → 株式会社になれる

株式会社になれる組合はすべてに「業」が付きますね

次は特例有限会社についてです。
これは旧有限会社法に基づきl設立された旧有限会社で、会社法施行後に株式会社への移行手続を行っていない会社のことです。特例有限会社は、現在では株式会社と同じ扱いを受けます。ですが、移行手続を行わなければ有限会社という商号をそのまま使い続けることは可能ですし、取締役、監査役などの任期に制限がなかったり、決算公告が不要だったり、旧有限会社法の適用も受ける。なお、旧有限会社も社債を発行することができる

最後に外国会社について触れましょう。
外国会社とは、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のものまたは会社に類似するものをいいます。外国会社は日本で取引を使用とする場合、日本における代表者を定める必要があります。また日本における代表者のうち1名以上は、日本に住所を有する者でなければならない
なお、外国会社は日本の会社とは異なり、組織再編など一部制限を受ける。

会社法関連はここまでです。
いや~、長かったですねぇ。
法務の二本柱の一つですから長いのは当然なんですが、会社法は法律改正がありますから最新論点をキープしておくことが大切なんですね。改正論点は格好の出題ポイントになりますから、こういう論点を押さえるのに資格予備校の力を使うのはよいと思います。特に27年度は法改正が多かったため、改正論点を押さえるのが大変でした。
いずれにしても法務については8月の本試験に向けて新しいスピテキと過去問集を調達するつもりです。
こういうところでケチっちゃいけないよな(笑)

次回からは資本市場に関する知識に入ります。

続く。