自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第80話 経営法務⑳ 前の勤務先はTOBされましたけど、それが何か?

今回は金融商品取引法に関する知識を取り上げましょう。
会社法に規定されている情報開示制度は、株主・債権者の利益保護を主たる目的としている。ここで扱うのは投資家の保護のための規定を定めた金融商品取引法。主に上場している株式会社が発行し、市場に流通させる有価証券についてさまざまな規定を設けている。

情報開示のことをディスクロージャーという。
情報開示に関する規定には、企業内容等の開示や公開買い付けに関する開示などがある。
企業内容等の開示には新たに有価証券を発行する場合に義務付けられる発行市場における開示(発行開示)と、すでに流通している有価証券の発行会社に開示が義務付けられる流通市場における開示(継続開示)に分類できる。

 ●情報開示 → 発行開示と継続開示

発行開示における主な開示書類は、有価証券届出書、目論見書が該当する。
継続開示における主な開示書類は、有価証券報告書、四半期報告書、臨時報告書、内部統制報告書が該当する。
有価証券届出書と有価証券報告書の違いは、有価証券の募集または売り出しを行う場合が届出書でそうでなければ報告書だ。有価証券報告書は、事業年度経過後3月以内に内閣総理大臣へ提出しなければならない。、あた5年間は公衆の縦覧に供しなければならないと定められている。

 有価証券報告書 → 事業年度終了後3月以内に提出。5年間は縦覧

四半期報告書とは、上場会社などが四半期終了後に企業・事業の概況、四半期連結財務諸表等を記載して、内閣総理大臣に提出しなければならない書類のこと。四半期報告書は四半期経過後45日以内に提出する。3年間縦覧に供しなければならない。

 ●四半期報告書 → 45日以内に提出。3年間は縦覧

臨時報告書とは、文字通り臨時に出す必要があるときに出すもの。投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす一定の重要事実、たとえば、倒産とか災害、訴訟、企業再編といった事由が発生した場合に内閣総理大臣宛に遅滞なく提出する。縦覧は1年間。

 ●臨時報告書 → 遅滞なく提出。縦覧は1年間

内部統制報告書とは、財務報告に係る内部統制の基本的枠組み、内部統制の評価、基準日、評価手続、評価結果等を記載して内閣総理大臣宛に有価証券報告書と併せて提出しなければならない書類のこと。縦覧は5年間。

 ●内部統制報告書 → 有価証券報告書と併せて提出。縦覧は5年間

なお、これらの有価証券報告書や四半期報告書の記載内容が金融商品取引法にもとづき適正であることを代表者等が確認した旨を記載して、それぞれの書類と併せて内閣総理大臣宛に提出する“確認書”という書類もある。

は~、実にめんどくさいな。

次に公開買い付けに関する開示についてをみてみよう。

公開買い付けとはM&Aの手法の一つであり、一般的にはTOBと呼ばれる。金融商品取引法では、公開買い付けとは、不特定かつ多数の者に対して、公告により株券等の買い付けの申し込みなどを行い、取引所金融商品市場外で株券等の買い付け等を行うことと定義されている。
この公開買い付けは“市場外”で行われるのがポイントで、買い付け後の株券等所有割合が5%超になる場合でも公開買い付けが強制適用される。株価に関係しちゃうからかな?
また市場内取引であっても買い付け後の株券等所有割合が3分の1超となる一定の場合でも公開買い付けが強制適用されることになっている。
3分の1超ってことは特別決議が否決できるってことだよね。やっぱ投資家保護の観点から大量の買占めは株価に影響するだろうから市場外での取引を強制させるということなのだろう。

 ●公開買い付け(TOB) → 市場外で買い付ける

ここまで資本市場について概観した。

次回は倒産法制についてレビューしよう。

倒産法制が終われば、いよいよ産業財産権という二本柱の二つ目に突入する。