第83話 運営管理29 ジャンジャンジャン
今回はPOSシステムの仕組みを詳述したい。
個人的には結構興味深く学べたと思う。著者は小売業に勤務したことはないが、スーパーへはしばしば通っているのでとても興味深く思えたのだ。それでは始めましょう。今回はPOSシステムの仕組みとバーコードについて。
POSシステムは、PLU方式とNon=PLU方式の2つの仕組みでバーコードをスキャンする。
<PLU方式>
PLUとは Price Look Up の略で、取扱商品コードと価格、商品名との対応テーブルのことだ。レジにてバーコードをスキャンしたときに、商品コードと店内にある商品テーブルに記載された価格情報とが紐付いて価格を照会する仕組みになっている。だから、PLU方式においては商品コードには価格情報は含まれていない。
<Non=PLU方式>
PLU方式との違いを端的に記せば、商品コードとともに価格情報が織り込まれた仕組みのこと。スーパーなどでよく見かけるお惣菜や生鮮食品のように包装単位ごとに価格が異なる商品や書籍雑誌に貼られているラベルには価格情報が入っている。これがNon=PLU方式だ。
次。
<ソースマーキング>
商品の製造元や販売元が商品の製造段階で、JANコードを商品の包装や容器にマークすること。ソースマーキングするためにはあらかじめGS1事業者コードを取得する必要がある。
<インストアマーキング>
店内で印刷した独自のバーコードラベルを作成し商品に貼ること。自社だけで通用すればいいのでGS1事業者コードは不要。インストアマーキングでは、バーコードに価格データを含めることができる。つまりインストアマーキングは価格情報を盛り込んだNon=PLUと入っていないPLUタイプの両方を使用することができる。
ただし、JANコードと区別するためにインストアマーキングは最初の2桁を「02」もしくは「20~29」を使用する取り決めとなっている。
で、そのJANコード。
<JANコード>
国際的にはEANコードと呼ばれ、アメリカやカナダにおけるUPCと互換性のある国際的な商品共通コード。
JANコードには、13桁の標準タイプと8桁の短縮タイプの2つの種類がある。ただし、8桁のものは日本独自のものなので国外では通用しない。最初の2桁は国コードであり、現在「49」「45」が日本の国コードになっている。この国コードは原産国を表すわけではなく、商品の供給元、製造元がどの国の企業なのかを表している。
以下、JANの注意点。
・GS1事業者コードは永久貸与ではない。3年ごとに更新が必要
・JANは消費者購入単位ごとに貼り付ける
・一物一個にJANコードを付ける。使用や個数、品名が違えばJANも異なる
・商品アイテムコードは重複することもある
・最後の1桁はチェックデジットと呼ばれる
実はJANのほかにもバーコードは存在する。それらをみていこう。
<ITF>
日本において集合包装用商品コード(標準物流コード)として使用されているコード。
主にダンボールに印刷されている。バーとスペースが文字を表し、ITFは2本の太いバーが存在する。
特徴としては、
・ITFは必ず偶数桁となる
・小さなスペースに多くの情報を盛り込むことができる
・桁落ちしやすい
・集合包装用商品コードは14桁。最初の1桁はパッケージインディケータと呼ばれる
・最後の1桁はチェックデジット
・GS1事業者コードは必要ない
なお、このITFには中に入っている商品の包装形態の情報が含まれているため、開梱せずに中身を確認することができる。
<CODE128>
アスキーコード128キャラクタすべてを表現できるバーコード
<2次元シンボル>
情報が水平と垂直方向に盛り込まれたシンボル。多くの情報を含むことができる。英数字、かな、漢字もOK
次にICタグに見られるようなRFIDの仕組みについてみてみよう。
RFIDとは、無線周波による非接触型自動識別技術のこと。情報の書き換えや追記が自由。商品を積み重ねたままでも情報を読み取れるなどの利点がある。トレーサビリティも容易。
<ICタグ>
物体の識別に利用される微小な無線ICチップのこと。主な特徴を記す。
・小型で軽量
・コストが安い
・流通の各段階で情報の読み書き可能。追加記録もOK
・遠隔でのやり取りもOK
・同時に大量データのやり取りも可能。表面が汚れていても大丈夫
・UHF帯が使えるようになった
・プライバシーの保護が必要になる
次は各企業間における商取引を合理化する仕組みだ。
<EDI>
企業間電子取引のこと。EDIでは、交換する情報を標準的な様式に統一して企業間で電子的に交換する。
EDIには相互に取り決めが必要になる。
・情報伝達規約
・情報表現規約
・業務運用規約
・取引基本規約
EDIを普及させるには、各企業にとってEDI化が負担にならない、メリットがあることが重要だ。各企業が個別にEDIルールを設定すれば統一性を欠き、合理化効率化が進まなくなる恐れがある。そのためEDIは標準化の必要性があり、インターネットの普及や技術の発展に伴い、Web-EDIに注目が集まってきた。
Web-EDIは特別なソフトウェアを必要としないから容易に適応できるメリットがある一方で、取引先ごとの個別仕様や画面の操作手順に対応する必要があるという問題がある。
2005年以降、XMLを利用したEDIが広まりつつある。XML-EDIはインターネット環境と親和性が高く、メッセージや項目の拡張性が高い。Web-EDIで発生していたデータの再入力等にかかる手作業を削減することが可能。
しかし、XML-EDIも自由度が高すぎる使い方をすると、効率が悪くなることもあり、標準化が必須。
長くなったのでここまでにしますです。
続く。