第84話 経営法務22 清算
倒産処理以外によって会社が消滅する場合として、解散後に清算するという方法がある。解散とは、事業活動を停止すること。解散は、定款で定めた存続期間の満了であったり、定款で定めた解散事由の発生であったり、株主総会の特別決議だったり、持分会社の場合で社員が欠けてしまったりといった場合に発生する。
また、何度か出てきた「清算」だが、清算とは、会社が解散した場合に、債権者に対する弁済、株主または社員に対する残余財産の分配など財産関係を整理するための手続のことをいう。清算の種類には、任意清算と法定清算とがあり、法定清算には通常清算と特別清算とがある。
●清算 → 任意清算と法定清算
●法定清算 → 通常清算と特別清算
●任意清算 → 定款または総社員の同意に基づいて解散した場合の清算。合名会社または合資会社のみ
●通常清算 → 全ての会社でOK
●特別清算 → 株式会社のみOK
また、会社は設立登記で法人格を取得する。解散登記で事業停止。清算結了登記で法人格が消滅する。
●法人格消滅 → 清算結了登記で消滅する。解散登記ではない
最後に、金融検査マニュアルについて。金融庁の検査官が用いる手引書のことだ。預金等受入金融機関を検査する際に用いられる。金融検査マニュアルでは、債務者(企業)の財務状況、資金繰り、収益力等により、返済の能力を判定して、その状況から債務者を5つに区分している。
・正常先→財務内容に特段の問題がない
・要注意先→業績低調で不安定、財務内容に問題あり
・破綻懸念先→経営難の状態で、今後経営破綻する可能性が大きいと認められる
・実質破綻先→経営破綻の事実は発生していないものの、債権の見通しが付かない
・破綻先→法的に経営破綻の事実が発生している
この金融検査マニュアルは過去2回出題があるが、こんなもん出されたらたまったもんじゃない。だって知らないと解けないんだからね。
この倒産法制は範囲そのものは狭いのだけれど、いくらでも重箱の隅をつつける種類のものだからあまり深入りする必要はないとは思う。過去の出題で一通りの出題もあったし、だからこそ重箱の隅系問題が出てくることも予測できるのだが、倒産法制よりも次のテーマの産業財産権を重点的に学習するほうがコスパがいいだろうと考えた。
ということで、次回からは産業財産権について。