自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第98話 経営法務29 商標続き

商標権の最後に、特殊な商標制度について概観することにしましょう。意外と法改正論点があったりするので気をつけたいところだ。

防護標章登録制度
 登録商標を使用した結果、需要者に広く認識(著名)された場合、その登録商標を他人が指定商品または役務以外に使用することによって商品または役務の出所を混同させるおそれがあるとき、他人の当該登録商標の無断使用を禁止する制度
これはあくまでも「無断使用を禁止」するだけであって、当該商標を独占的に使用を認める制度ではない。

団体商標登録制度
 事業者を構成員に有する団体が、その構成員に使用させる商標について商標登録を受けることが出来る制度
団体商標登録出願できる団体とは、一般社団法人、商工会議所、商工会、NPO法人事業協同組合などの法人格を有する団体
なお、法人格のない団体や会社は出願出来ない。商標登録は当該団体名義で行われるが、その構成員も当該商標を使用することは出来る。また、当該団体が解散しても、商標権は消滅しない

 ●団体商標登録制度 
  → 一般社団法人、商工会議所、商工会、NPO法人事業協同組合などがOK
    ※会社は不可

地域団体商標登録制度
 地域名と商品名からなる商標(地名入り商標)について、早期に団体商標登録を受けられる制度
地名入り商標が著名性をもつことで自他識別力を得るのはなかなか容易なことではない。しかし、著名になるまでの間、他者の使用を排除出来ないのは問題だとして設けられた制度である。
地域団体商標は、「地域名+商品名(役務名)」である商標のこと

 地域団体商標制度の出願が可能な団体は、事業協同組合などの法人格を有する組合などに限られていた。平成26年の改正によって、事業協同組合だけでなく、商工会議所、商工会、NPO法人地域団体商標の商標登録の出願が可能になった。

 地域団体商標の改正 → 事業協同組合、商工会議所、商工会、NPO法人が可

また、商標登録は団体名義だが、団体の構成員も当該商標を使用することが出来る。当該団体が解散しても商標権は消滅しない。さらに地域団体商標に係る商標権は譲渡出来ない。また地域団体商標に係る商標権は専用実施権を設定出来ない

 地域団体商標 → 譲渡不可。専用実施権は設定出来ない

小売等役務商標制度
 小売業者等(小売業者または卸売業者)が店舗の看板、店員の制服、ショッピングカート等に使用する商標をサービスマーク(役務商標)として保護する制度
 商標法では、小売業者等の役務について、「小売および卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれる」とし、小売店における店舗名として使用される商標、ショッピングカート、従業員の制服に使用される商標などを保護対象にしている。

ここまで商標権についてを概観した。
商標権はその他の産業財産権とは異なる点も多く、その分論点も明確だといえる。それらの違いを把握することが大切だろう。

産業財産権関連はまだ続きます。