自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第108話 経営法務35 独禁法

先が見えてきた。もう少しだ。今回は独占禁止法から始めようと思う。

独占禁止法は、その正式な名称を「私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律」という。競争維持政策を実現する法律であり、経済政策立法の基本となるものだ。また同法では、「私的独占および不当な取引制限」と「不公正な取引方法」を規制している。この法律を運用するのは公正取引委員会で、準司法的な強制力を持つ組織だ。
 ここでいう「私的独占」とは、事業者が他の事業者の事業活動を排除・支配することで、一定の取引分野における競争を実質的に制限することである。また、「不当な取引制限」とは、事業者が、他の事業者と共同して価格・数量・その他のことについて協定を結び、相互拘束または共同遂行することにより、一定の取引分野において競争を実質的に制限することをさす。不当な取引制限に該当する行為には、カルテルと入札談合がある。もちろん、それらは違法行為となる。カルテルとは、事業者または業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量等を共同で取り決める行為のこと。

独占禁止法では、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するものなどを不公正な取引方法としている。この指定にはすべての業種において適用される一般指定と、大規模小売業など特定の業種に適用される特殊指定とがある。
ここで一般指定のものについて代表的な5つを取り上げる。

1.共同の取引拒絶(ボイコット)
 正当な理由なしに、事業者が競争者と共同して、ある事業者に対して供給を拒絶しまたは供給に係る商品・役務の数量・内容を制限したり、または他の事業者にこれらに該当する行為をさせること。他の事業者との取引を拒絶して市場から排除したり、取引を拒絶して新規参入させないなどといった行為である。

2.差別対価
 不当に、事業者が地域または相手方により対価を差別する行為。

3.不当廉売
 正当な理由なしに、原価を著しく下回るような安い価格で商品などを継続して供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれを生じさせること。“正当な理由がある”場合の廉売とは、生鮮食品の安売りや季節商品のようにその販売の最盛期を過ぎたものとか傷物、半端物その他瑕疵ある商品などをさし、違法とはならない。

4.再販売価格の拘束
 正当な理由なしに、事業者が商品を供給した相手方と、その取引先との間の販売価格を拘束すること。
なお、書籍等著作物の再販売価格維持行為は、独占禁止法の適用除外とされている。

5.優先的地位の濫用
 ある事業者が、相手方に対する取引上の優越的な地位を利用して、正常な商慣習に照らして埠頭に相手方の事業活動を制限したり、相手方である会社の役員の選任について指示したりするなど、相手方に不利益となる行為をすること。具体的には、押し付け販売や協賛金、払込制などが該当する。

なお、以下の3つについては独占禁止法違反にならない。
知的財産権の正当な権利行使と見られる行為
中小企業等協同組合などの組合の行為
③著作物の再販売価格維持行為

続いては、製造物責任法(PL法)について概観する。

製造物責任法とは、製造物に欠陥があったときに、メーカー(製造業者)に無過失責任を負わせ、消費者がメーカーに対して直接損害賠償を請求できることを定めた法律である。
そもそも民法不法行為は、被害者側に故意・過失の立証責任がある。これでは消費者に著しく不利益が生じるために民法不法行為の特別法の位置づけで無過失責任を規定したものである。

 ●PL法 → 無過失責任で損害賠償請求可
       ※消費者に過失の立証責任はない

また、PL法は消費者個人のみを対象としているのではなく、販売者や法人も含まれるとしている。

 ●PL法 → 消費者だけでなく、販売者や法人も対象

PL法でいう「製造物」とは、製造または加工された動産、としており、電気などのエネルギーやサービス、コンピュータプログラム、不動産、未加工農林畜水産物は“製造物”に該当しない。
また同法では「製造業者」の定義を、メーカーなどの通常の製造業者以外に、輸入業者、表示製造業者(OEMの供給元、PBの販売業者など)、実質製造業者も製造業者としている。

このPL法は、拡大損害が生じなければ製造物責任は発生しない、と規定している。つまり、製造物の欠陥により、人の生命、身体または財産に関する損害が発生した場合にメーカーによる損害賠償責任が発生するということ。当該製造物だけに損害が生じた場合にはPL法でに損害賠償請求は出来ないことになる。

 ●PL法での損害賠償請求 
  → 製造物の欠陥に伴う生命、身体または財産の損害が発生した場合

なお、ここでいう“欠陥”とは、設計上の欠陥、製造上の欠陥、指示・警告上の欠陥の3つをいう。
また、製造物責任法での時効は、損害および加害者・賠償義務者を知った日から3年となっている。

続いては、消費者保護法制について。
ありていに言えば、消費者の利益を保護しましょう、という法律体系を消費者保護法制と呼んでいる。それには消費者基本法、景表法、消費者契約法特定商取引法などがある。

1.景品表示法(景表法)
 正しくは、「不当景品類および不当表示防止法」という。商品やサービスについての不当な景品(過大景品)や表示(誇大表示)を規制する法律である。そんなに難しいイメージはないであろう。
 
 景表法では、過大な景品の提供を規制している。いわゆる“懸賞”で提供できる景品に規制を設けている。懸賞には、一般懸賞、共同懸賞、総付景品の3つがある。
一般懸賞とは、商品の購入者を対象にした懸賞をいう。5,000円未満の購入者には、取引価額の20倍の景品が最高額となり、景品類の総額は売上予定総額の2%というふうに制限がある。共同懸賞も、総付景品も同様で、取引価額、景品類の最高額、景品類の総額制限など規制がある。なお、共同懸賞とは、多数の人々が集まって企画し、実行するといった懸賞。歳末大売出し福引とか、そういったもの。総付景品とは、商品の購入者や希望者にもれなく提供されるものである。景品による不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認められるときに、上で述べたような景品類の提供を禁止することが出来る。

 次に、不当表示。
景表法では、消費者に誤認されることによって不当な顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるような不当表示を規制している。

以下、3つを押さえよう。
①優良誤認表示 ②有利誤認表示 ③その他の誤認表示
これらは「景表法」に関するキーワードであって、不正競争防止法に関するキーワードではないことに注意が必要だ。

 ●景表法 →優良誤認表示、有利誤認表示、その他誤認表示

どうもスピテキはページの最後のほうになると散文的な内容で終始することになる。だからかなりの内容が断片的に記載されることになるのだが、本試験で出題のあった項目をただただ追加しているだけな感じ。

今回はここまでで、次、経営法務の最終回(の予定)。