第123話 経営情報システム⑱ 性能の評価
今回はコンピュータシステムの評価についてみていきたいと思います。コンピュータですから、その評価は性能とか信頼性がメインになります。
とまぁ、仕事していると、PCの動きが遅かったり、ソフトウエアが突然フリーズしたりすることってありますよね。著者は、勤務先では、デスクワークしかやっておりませんので、特に月末や月初、何かのPJで使用する資料を準備しているときに何かが起こると「がびーん」となります。やれやれ。
1.性能評価
コンピュータの性能を評価するための指標としてMIPSなどがある。MIPSは、コンピュータの処理速度を表す単位であり、1MIPSのコンピュータは、1秒間に100万回の命令を実行できる。
しかしながら、複数のコンピュータシステムを評価する際はMIPSの値だけでは相対的な比較は困難である。ここでは複数の機種間での相対評価を行うための手法について概観する。
①スループット
コンピュータシステムによって単位時間当たりに処理される仕事の量。たとえば、1時間あたりに処理できるトランザクションの数などで示される。
②レスポンスタイム(応答時間)
コンピュータシステムにトランザクションを入力してから、処理結果が出力されるまでの時間。主にOLAPで用いられる性能指標。例えば、残高照会の指示を入力し終わってから、残高が表示され始めるまでの時間を指す。
③ターンアラウンドタイム
コンピュータシステムにデータを入力してから、完全な処理結果が出力されるまでの時間のこと。主にバッチ処理で用いられる性能指標である。例えば、銀行振り込みの指示を入力し始めてから、実際にその振込みが完了するまでの経過時間を指す。
●レスポンスタイム → 部分的な処理時間
●ターンアラウンドタイム → 一連の処理時間
④ベンチマーク
コンピュータの処理速度を計測する試験のこと。
⑤SPEC
実は、コンピュータの性能などを測定・公表する中立の非営利団体のことであり、Standard Performance Evaluation Corporation の略。そこから派生してコンピュータなどの「性能」を表す用語として使われている。
⑥TPC
トランザクション処理性能評議会のこと。Transaction Processing Performance Counsil の略。
⑦インストラクションミックス
コンピュータの命令の実行速度により処理能力を評価するために用いる指標。値が小さいほど処理能力が高い。科学技術計算を意識してウェイト付けしたギブソンミックスと、事務処理計算用のコマーシャルミックスがある。
2.信頼性評価
コンピュータの信頼性を評価する。コンピュータシステムが期待された機能・性能を安定して発揮できるか否かを検証するための評価項目として知られる5つの要素を、RASISという。
●RASIS → 信頼性評価の5つの要素
①R:Reliability(信頼性)
どのくらい故障しないで稼動するかということ。指標は、平均故障間隔(MTBF)。
②A:Availability(可用性)
どのくらいシステムを利用できるかということ。稼働率を用いて評価する。
稼働率は、信頼性評価の指標であるMTBFと保守性指標である平均修理時間(MTTR)を用いて次のように表される。
③S:Serviceability(保守性)
故障した場合、どのくらい素早く修復できるかということ。指標は平均修理時間(MTTR)。
④I:Integrity(完全性)
システムの正確さ、仕組みとしての一貫性・完全性での評価。
⑤S:Security(安全性)
システムのセキュリティ、安全性である。
なお、MTBFとは、Mean Time Before Failure の略。MTTRは、Mean Time To Repair の略。
複数システムの稼働率の計算は、直列と並列で計算方法が異なる。
直列システムでは、それぞれの稼働率を求め、その積が全体の稼働率となる。また、並列システムでは、それぞれの稼働率を求めてから非稼働率を求める。非稼働率の積を求め、100%の稼働率から非稼働率の積を引くことで求められる。
例えば、Aシステムの稼働率は0.8。Bシステムの稼働率は0.9だとする。AとBが直列だった場合の稼働率はそれらの積だから0.8×0.9=0.72となる。一方、並列だった場合は、Aの稼働率は0.8だから非稼働率=0.2だ。同様にBは0.1だ。非稼働率の積は0.2×0.1=0.02。ゆえに1-0.02=0.98となる。
まぁ、このあたりもなんとかなりそうな気がしたけれどねぇ。
問題はスピ問でどれだけ理解が進むかだな。
次のテーマは、故障や障害に対する考え方について。
業務におけるコンピュータの依存度が高まるにつれて、コンピュータに故障や障害が起きた場合に業務に与える支障が大きくなる。ここでは、コンピュータの故障や障害に対する考え方やアプローチ方法を概観する。
2.フォールトトレランス
故障や障害が発生したときに、その故障や障害に耐えるシステムを設計仕様というアプローチ全般のこと。つまり、故障や障害は避けられないというスタンスから、予め故障や障害に備えておくという発想だ。
①フェイルセーフ
システムを安全な方向に動作させること。例えば、地震が来たらストーブが消えるとか。つまり、安全側に倒すってこと。
②フェイルソフト
システムを全面停止とせずに、システム全体の稼動状態を保つこと。例えば、飛行機のエンジンの一つが故障した場合、エンジンを全停止させずに故障したエンジンのみを切り離すなど、飛行状態を保つ。
フェイルセーフの考え方だと、この飛行機、墜落しちゃうよね。
●フェイルセーフ → 安全側にたおす。全停止
●フェイルソフト → 稼動状態を保つ
3.フールプルーフ
ユーザがミスしても、そのミスをカバーするシステムを設計仕様というアプローチ全般のこと。たとえば、ファイルを保存しないで閉じようとすると、ディスプレイには“保存しますか?”という警告が出る。
続いてバスタブ曲線が登場するけれど、こいつは割愛。
今日はここまで。
続く。