自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第128話 中小企業政策⑨ 下請法

今回は、下請取引の適正化・下請け中小企業の振興ということでレビューしていきたいと思います。実務の世界でも気をつけていないと、それが下請法に該当するとかという事例があります。だから著者も、これを学習したときには、社内的に下請法に違反しないようにいろんなことを整備しました。周囲はなんでそんなことを、とかいう雰囲気でしたが半ば強引に進めてしまったわけです。犯罪者になりたくないし(笑)

1.独占禁止法下請代金支払遅延等防止法
 経営法務のところで出てきましたが、独占禁止法の役割の中心は、私的独占、不当な取引制限および不公正な取引方法の禁止にある。不公正な取引方法とは、公正な競争を阻害するおそれのある行為のうち、公正取引委員会が指定するものをさす。
 不公正な取引方法のうち、下請企業に対する下請代金の支払遅延、買い叩き等の優越的地位の濫用については、その迅速かつ効率的な排除の観点から、特に独占禁止法の特別法である下請代金支払遅延等防止法で規制される。

2.下請法(下請代金支払遅延等防止法
 下請代金の支払遅延などの防止により、不公正な取引の規制と下請事業者の利益保護を目的とした法律。公正取引委員会および中小企業庁が運用する。
1)適用範囲
 この法律が適用となる取引行為は以下のとおり。なお、委託者を「親事業者」、受託者を「下請事業者」とし、親事業者を規制の対象とする。
①物品の製造・修理委託および政令で定める情報成果物作成委託・役務提供委託
  【親事業者】                   【下請事業者】
資本金額3億円超         →   資本金額3億円以下(個人含む)
資本金額1,000万円超3億円以下    →   資本金額1,000万円以下(個人含む)
②情報成果物作成委託・役務提供委託
  【親事業者】                   【下請事業者】
資本金額5,000万円超         →   資本金額5,000万円以下(個人含む)
資本金額1,000万円超5,000万円以下 →   資本金額1,000万円以下(個人含む)

2)親事業者の義務
①注文するときは、直ちに取引条件などを書いた書面(注文書)を出すこと
②注文した内容などについて記載した書類を作成し、2年間保存すること
③注文などを受け取った日から60日以内で、かつ出来る限り短い期間内に代金の支払期日を定めること
④注文品などを受け取った日から60日を過ぎても代金を支払わなかった場合は、受け取った日の60日後から支払を行った日までの日数に遅延利息(年率14.6%)を加算して支払うこと

 ●下請法 → 注文書は2年間保存
 ●下請法 → “60日以内”
 ●下請法 → 年率14.6%

3)親事業者の禁止行為
①受領拒否 ②下請代金の支払遅延 ③下請代金の減額
④返品  ⑤買い叩き ⑥物の購入強制
⑦報復措置 ⑧有償支給原料等の対価の早期決済 ⑨割引困難な手形の交付
⑩不当な経済上の利益の提供要請 ⑪不当なやり直し等

次はそんな下請事業者の振興を目的とした法律についてみていきましょう。

3.下請中小企業振興法
 下請中小企業の振興を目的とした法律。振興基準、振興事業計画制度、特定下請連携事業計画、下請企業振興協会について規定している。
1)振興基準
 下請中小企業振興のために、事業者と下請事業者との間の取引関係を適正にするルール
①下請事業者の生産性向上、製品の品質・性能の改善
②下請事業者の設備の導入、技術向上、事業の共同化
③親事業者の対価の決定方法、納品の検査方法や取引条件の改善
④親事業者の発注分野の明確化、発注方法の改善
2)振興事業計画制度
 下請事業者を組合員とする事業協同組合などとその親事業者が共同で「振興事業計画」を作成し、国(主務大臣)が承認する。
3)特定下請連携事業計画
 小規模企業活性化法改正に伴い、下請中小企業振興法も改正され、創設された制度。
2者以上の下請中小企業が有機的に連携して新事業活動を行うことにより、特定親事業者以外の者との取引を開始・拡大し、特定親事業者への依存の状態の改善を図る計画。

 ●2者以上 → “有機的に連携”がキーワード

 なお、「依存の状態」とは、1つの親事業者から支払われる下請代金が、下請事業者の総収入金額の20%以上である場合をいう。計画期間は3~5年で取引依存度を1%以上低下させることを目標とする。

4.下請企業振興協会
 都道府県下請企業振興協会の中核機関である財団法人。
都道府県には都道府県等中小企業支援センターがあり、そこに都道府県下請企業振興協会が設置されている。下請企業振興協会は以下の業務を行っている。
①下請取引の斡旋
②下請取引の経営等に関する情報提供
③下請中小企業振興のための情報収集および提供
「下請かけこみ寺」事業
 ④の下請かけこみ寺事業では、中小企業の取引に関するさまざまな悩みの相談対応を行っており、迅速な解決策の提示等、適正な取引を行う。各種相談への対応や迅速な紛争解決を目指すADR(裁判外紛争解決手続き)などの支援が講じられる。

 ●下請かけこみ寺 → ADR(裁判外紛争解決手続き)

下請関係はここまででおしまい。

続く。