自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

第130話 中小企業政策⑩ 事業承継

今回は、経営安定対策を中心とした環境変化への対応と中小企業の事業承継についてみていきましょう。

経営安定対策は、経営の悪化などの影響により、経営的、資金的能力に乏しいため自らが倒産の危機に陥ってしまうことを防止する経営安定特別相談事業と、取引先の倒産などの影響により自らも倒産に陥ってしまうことを未然に防ぐ連鎖倒産防止の各施策がある。

1.経営安定特別相談事業
 全国の主要な商工会議所や都道府県商工会連合会に経営安定特別相談室が設置されている。無料

2.連鎖倒産防止
 連鎖倒産防止の施策には次のようなものがある。
1)セーフティネット貸付制度
 金融機関との取引状況の変化、関連企業の倒産などにより、資金繰りは悪化しているが、中長期的には経営の安定が見込まれる中小企業者に対して、日本政策金融公庫が行う運転資金などの貸付

 セーフティネット貸付 → 日本政策金融公庫

2)経営安定関連保証制度(セーフティネット保証)
 連鎖倒産を防止するため、市町村長などの認定を受けることで、信用保証協会からの保証が一般保証に加えて別枠で利用できる制度。

 セーフティネット保証 → 市町村長の認定。別枠化

3)中小企業倒産防止共済制度経営セーフティ共済
 中小企業の連鎖倒産防止と経営安定を目的として中小企業基盤整備機構が運営する共済制度。
<根拠法>中小企業倒産防止共済法
<条件>
1年以上継続して事業を行っている
掛金納付月数が6ヶ月以上ある
<貸付額>
a. 、b. いずれか少ない額
a. 売掛金受取手形などの回収が困難になった額
b. 積み立てた掛金総額の10倍に相当する額
※貸付限度額は、8,000万円
<貸付>
無担保、無保証人、無利子
<貸付を受けた場合>
貸付金額の10分の1に相当する額が掛金総額から控除される
※つまり10%の手数料が取られるイメージ
<掛金>
月額5,000円~200,000円
※個人の必要経費、損金として参入可

 ●セーフティ共済 → 1年以上事業、6ヶ月以上掛金納付
 ●セーフティ共済 → 無担保、無保証人、無利子(掛金総額の10%の手数料あり)

3.BCP
 Business Continuity Plan の略。事業継続計画と訳される。企業が自然災害、大火災、テロ攻撃等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能にするために、緊急時における事業継続のための方法、手段等を取り決めておく計画。なお、BCPに関して取引先とも協議することが望ましい

続いては中小企業の事業承継と再生支援についてみていきます。

3.事業承継支援
 中小企業の事業承継の円滑化にむけた総合的支援策を定めた法律に、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継法)がある。金融支援や税制面での優遇などを定めている。
1)金融支援
 代表者の死亡等に起因する経営の承継に伴い、事業活動の継続に支障が生じていると認められる中小企業者が、経済産業大臣の認定を受けた場合、信用保険法の特例や日本政策金融公庫による貸付といった支援が受けられる。

 事業承継の金融支援 → 経済産業大臣の認定

2)事業承継円滑化のための税制措置
 これもまた経済産業大臣の認定を受ける非上場株式等を先代経営者から取得し、その会社を経営していく場合、その後継者が納付すべき相続税・贈与税の納税が猶予される。ただし、相続・贈与前から後継者がすでに保有していた議決権株式を含めて発行済完全議決権株式総数の3分の2に達する部分までに限られる。

 相続税 → 課税価格の80%を猶予
 ●贈与税 → 全額猶予

なお、同法は2015年に改正法が施行され、次のように変更されている。

①後継者は、現経営者の親族に限定
  → 親族外承継を認める
②雇用の8割以上を「5年間毎年」維持
  → 雇用の8割以上を「5年間平均」で評価
③現経営者は、贈与時に役員を退任
  → 贈与時の役員退任要件を代表者退任要件に

4.産業競争力強化法に基づく再生支援
 地域の関係者の協力を得て中小企業の再生を支援するため、各都道府県にそれぞれ1ヵ所、経済産業大臣が認定した商工会連合会、商工会議所等に設置された支援機関を、中小企業再生支援協議会とよぶ。
この中小企業再生支援協議会は産業競争力強化法を根拠法とした機関で、事業引継ぎ相談窓口や事業引継ぎ支援センターが設置されている。原則として相談等は無料で行われる(一部実費負担のある計画策定支援もある)。

 中小企業再生支援協議会 → 根拠法は産業協力強化法

また、産業競争力強化法は、再生支援だけでなく、創業者への支援、創業支援者への支援、市町村への支援も行っている。

今日はここまで。
次回が最終回です(たぶん)。

続く。