自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【22年度 第4問】

【平成22年度 第4問】
投資決定の説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 a ケインズの投資理論では、投資の限界効率が利子率を下回るほど、
 投資を実行することが有利になると考える。
 b 資本のレンタル料が資本の限界生産物価値を上回る場合、
 投資が増加し、資本ストックの積み増しが生じる。
 c 投資の加速度原理では、生産拡大の速度が大きくなるほど、
 投資も拡大すると考える。
 d トービンの q 理論では、株価総額と負債総額の合計である企業価値が、
 現存の資本ストックを再び購入するために必要とされる資本の再取得費用を
 上回るほど、設備投資が実行されると考える。


〔解答群〕

ア a と b
イ a と c
ウ b と c
エ b と d
オ c と d

 

 

 

だんだんややこしくなってきたね。
この問題が出た平成22年度の問題は過去最高に難易度の高かった年度で、なんと科目合格者の割合が2.1%だったという稀代の悪問ぞろいだったと言われていますからね。
とはいえ、合格者もいるわけで、素直ではない、ひねくれた問題が多かったとみるべきでしょう。

選択肢の検討に入ります。
a;ケインズの投資理論は、財務会計で出てきたIRRの考え方に似ています。限界効率は投資の利益率です。だから投資の利益率>利子率であるときに投資をしましょう。さらに、利子率が下落すれば投資は増えますよ、という理論がケインズの投資の限界効率理論なんですねー。だから、「投資の限界効率が利子率を下回るほど」の部分が誤りで、「上回る」が正しい記述ですな。
b;“資本のレンタル料”という表現は“利子率”と置き換えてもいいと思います。つまり、限界生産物価値と“利子率”を天秤にかけて、限界生産物価値が上回るときに投資を行うという考え方だ。だから資本のレンタル料が限界生産物価値を上回る、という部分が誤り。
c;投資の加速度原理とは、GDPの増分に比例するというもの。したがって、この記述は正しい。
d;トービンの q 理論は前述のとおり。
したがって、正解は、オ である。