自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

財務会計【20年度 第6問】

【平成20年度 第6問】
以下に掲げる当期のキャッシュフロー計算書(単位:千円)に基づいて、下記の設問に答えよ。

         キャッシュ・フロー計算書
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー
    税引前当期純利益                      25,000
    減価償却費                                 8,000
    貸倒引当金の増加額                    (  A  )
    受取利息および受取配当金          -4,300
    支払利息                                    7,200
    有形固定資産売却益                    (  B  )
    売上債権の増加額                      -10,000
    棚卸資産の減少額                         6,000
    仕入債務の減少額                      -17,000
        小計                                (       )
    利息及び配当金の受取額              4,700
    利息の支払額                             -6,200
    法人税等の支払額                       -9,000
     営業活動によるキャッシュ・フロー   3,000
               (以下、省略)

(設問1)
空欄AとBに入る数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

ア A:-600   B:-2,000
イ A:-600   B:2,000
ウ A:600    B:-2,000
エ A:600    B:2,000


(設問2)
時の営業損益に関するデータは次のとおりである。営業収入と原材料または商品の仕入による支出の金額(単位:千円)の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

営業損益に関するデータ
売上高            220,000   売上原価 160,000  
販売費および一般管理費 34,100   営業利益  25,900


〔解答群〕
ア 営業収入:190,000  原材料または商品の仕入による支出:171,000
イ 営業収入:190,000  原材料または商品の仕入による支出:183,000
ウ 営業収入:210,000  原材料または商品の仕入による支出:171,000
イ 営業収入:210,000  原材料または商品の仕入による支出:183,000

 

 

 

苦手だとしているキャッシュ・フローの問題ですねぇ。
スピテキとかスピ問様、過去問マスターの解説には“キャッシュに与える影響”を考えることで対応可能だとしているが、それがまったく理解出来ない。なぜだ? とアタマん中に「?」がたくさん出てくる。

この設問は間接法からの出題だ。
まずはキャッシュ・フロー計算書(以下、C/F)を見てみる。

税引前当期純利益から始めるのが間接法であるが、その下には減価償却費、貸倒引当金が登場する。これらは「非資金項目」といって実際の支出を伴わない支出だ。他には退職給付引当金が存在するが、この設問には載っていない。
減価償却費はP/L上では営業利益の上の部分で控除される。
貸倒引当金はB/S上で期首・期末の増減額をひっぱってくる。退職給付引当金も同様だ。
貸倒引当金は貸倒れに備えてプールしておく資金だからこれも非資金項目。
したがって、減価償却費は資金の支出を伴わないからC/Fでは加算項目。
貸倒引当金の増加額は、プールする資金が増加、ということなのでC/Fでは加算項目。
逆に貸倒引当金の減少額は、減算項目となる。
資金項目はそんなに難しくないのだ。
問題は、「受取利息及び受取配当金」「支払利息」「有形固定資産売却益」だ。

勉強してきた本にはそれなりの解説が書かれてあったけれど、無学者の著者にはさっぱり分からんかった。
ところで、「受取利息及び受取配当金」「支払利息」「有形固定資産売却益」は
P/Lの項目でいうと、営業利益の下で、かつ経常利益の上、つまり、営業外収益と営業外費用なんだよね。つまり、今、問題で扱っているC/Fは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」であって、「受取利息及び受取配当金」や「有形固定資産売却益」は営業活動による受取ではないし、「支払利息」は営業活動に伴う支払いではないということが理解できていなかった。
要するに、
「受取利息及び受取配当金」は、営業活動による受取ではないので、減算項目。
「支払利息」は、営業活動による支払いではないので、加算項目。
「有形固定資産売却益」は、営業活動に伴う収益ではないので減算項目、
となるわけ。これがわかっていなかったんだ。

だから(設問1)は、貸倒引当金の増加額は、プラスになるし、
有形固定資産売却益は、営業活動によるものではないのでマイナス。
したがって、プラス・マイナスの組み合わせはウしかない。
よって、正解は、ウ である。

次は(設問2)。
その前に、「売上債権の増加額」「棚卸資産の減少額」「仕入債務の減少額」についてみてみよう。
これらはB/Sの項目に該当するから、これらが増減することでキャッシュがどうなるか考えればよい。
売上債権の増加は、売上金として回収出来ない額が増えることを意味するのでキャッシュに対してはマイナス。
次に棚卸資産の減少は、棚卸資産すなわち在庫が減ったことでキャッシュが増えたことを意味するのでプラス。
仕入債務の減少は、債務が減るということは支払いを終えたからこそ債務が減ったことになるのでキャッシュに対してはマイナス。だからC/Fのプラス・マイナスの表示が同じようになっているはずだ。
で、設問2。
売上高=220,000 で、キャッシュに与える影響が-10,000 ってことは、営業収入は、
P/L上での当期の売上高=220,000 よりも10,000少ないということ。すなわち、正解は、ウまたはエに絞られた。
支出については、
まず、棚卸資産の減少額=6,000 より、キャッシュに与える影響が6,000のプラス。つまり、在庫を処分したことで新たに仕入をせずに売り上げたということだ。
また、仕入債務の減少額=-17,000 より、買掛金が少なくなったことで支払いが増加し、その結果手持ちのキャッシュが-17,000になった、つまり、仕入による支払いが17,000だったということを意味しているように考えた。

そこで、与件には売上原価=160,000 とあるが、上記を踏まえて支出額を求めてみる。
まず、新たに仕入せずに売り上げているので、その分が原価低減となるよね。
だから、160,000-6,000=154,000だ。
次に買掛金の支払いを17,000分済ませているのでその分の原価がアップ。
だから、154,000+17,000=171,000だ。
したがって、正解は、ウ となる。