自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【24年度 第7問】

【平成24年度 第7問】
家計、企業、政府から構成される閉鎖経済モデルを考える。各記号は、Y:GDP、C:民間消費支出、I :民間投資支出、G:政府支出、T:租税収入を意味し、単位は兆円とする。

 生産物市場の均衡条件  Y=C+I+G
 消費関数  C=0.8(Y-T)+20
 租税関数  T=0.25Y-10
 民間投資支出  I =32
 政府支出  G=20

このモデルから導かれる記述として、最も適切なものはどれか。

ア 生産物市場が均衡しているときのGDPは360兆円である。
イ 生産物市場が均衡しているときの財政収支(T-G)は、30兆円の赤字になる。
ウ 政府支出乗数は5である。
エ 政府支出を10兆円拡大させると、生産物市場が均衡しているときの
  GDPは25兆円増加する。

 

 

 

 

【平成22年度 第5問】よりは親切かもしれませんね。
さっそく選択肢の検討に入りましょう。ちなみに本問も租税は定額税だと分かります。
アから。Y=C+32+20 と C=0.8(Y-T)+20 と T=0.25Y-10 を使って均衡しているときのGDPを求めます。なんやかんやで、Y=0.6Y+80 となり、Y=200 です。ゆえに不適。
次にイですが、財政収支は、T-G ですね。いま、T=0.25Y-10 で、G=20 ですから、
T-G=0.25Y-10-20 が成り立ちます。したがって、T-G=0.25Y-30 です。Y=200でしたので、200を代入しますと、T-G=20 となり、20兆円の黒字だとわかります。ゆえに不適。
次にウですが、まずは、租税関数を消費関数に代入しましょう。
C=0.8{Y-(0.25Y-10)}+20 
→ C=0.8(Y-0.25Y+10)+20
→ C=0.8(0.75Y+10)+20
→ C=0.6Y+28

次に、Y=C+I+G に代入します。I =32 でしたね。
→ Y=0.6Y+28+32+G
→ 0.4Y=60+G
→ Y=150+2.5G
政府支出乗数を算出するには、国民所得Yと政府支出Gの関係を明らかにする、つまり、GとYを残した上で、Yについて解くとGに係数が出てきます。その係数が政府支出乗数です。ゆえに政府支出乗数は2.5ですから、ウも不適です。
最後のエが正解なんですが、一応確認しましょう。
アを求めた式の、政府支出G=20 をG=30 にした上でGDPを求めます。すると、GDP:Y=225 となり、10兆円政府支出を増加させると、GDPは25兆円増加します。
または、ウで求めた政府支出乗数は2.5でしたから、政府支出を10兆円増加させると、その2.5倍GDPが増えるということですから、25兆円増加としてもOKですな。
したがって、正解は、エ である。

ここで疑問。
政府支出乗数 1/1-b が使えないのはどうしてなのか? まだ解決していないけれど・・・??

Y=C+32+20 と C=0.8(Y-T)+20 と T=0.25Y-10 を使って均衡しているときのGDPを求める過程で、C=0.6Y+28 を導くことが出来ました。
政府支出乗数を利用するには、与件の C=0.8(Y-T)+20 の「0.8」を使うのか、C=0.6Y+28 の「0.6」を使うのかがキメテになるのではないかと思っています。
この「0.8」なり「0.6」は限界消費性向だけど、これって租税の影響を受けますよね。だから租税関数を代入し、租税の影響を考慮した限界消費性向ではないと正確に乗数は出せないのではないか、というふうに思っています。なので、基本は“乗数は暗記”なんですが、
やみくもに乗数の公式を使えばいいってもんじゃない、ということではないです。
特に租税や輸出入が絡んだ場合は要注意ですよね。