財務会計【平成17年度 第10問】
【平成17年度 第10問】
投資の経済計算手法に関する下記の設問に答えよ。ただし、初期投資だけが負のキャッシュ・フロー(支出)、それ以後は毎期正のキャッシュ・フロー(収入)をもたらすような投資案を前提とする。
(設問1)
回収期間法に関する記述として最も不適切なものはどれか。
ア 回収期間法は、回収期間が短いほど有利な投資案とする。
イ 回収期間法は、回収後のキャッシュ・フローを無視している。
ウ 回収期間法は、革新的新製品投資のような相当長期の経済
命数を有する投資を選択する傾向があると一般にいわれている。
エ 回収期間法は、貨幣の時間価値を考慮していない。
(設問2)
回収期間法、内部利益率法および正味現在価値法に関する次の記述のうち、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 回収期間がその投資の経済命数より短いならば、正味現在価値は必ず正で
ある。
b 内部利益率法は、相互排他的投資案の評価において、不適切な結果を導く場
合がある。
c 内部利益率法は、複数の正の内部利益率を導く場合がある。
d 要求利益率で割り引いた正味現在価値が正ならば、内部利益率は必ずその要
求利益率を上回る。
〔解答群〕
ア a と b イ a と c ウ b と c エ b と d オ c と d
ふっとこういう問題を出されると迷ってしまいます。
知っている、知らないの知識問題みたいなところもありますが、確実に点数にできるところでもありますよね。
設問1からいきましょう。
不適切なものを選ぶんだぞ。こんなところで時間的なロスはもったいないからね。
ア:回収期間法は回収期間の長短で評価するんだよね。だから短いほどよいとする考えだ。
イ:ただただ回収期間の長短で採否を決めるから、回収後のCFは考慮されない。
ウ:回収期間が短いとよいのだから、相当長期の投資の評価には向いていない。
エ:ただ何年で投資額が回収できるかを見ているから、貨幣の時間的価値は考えていない。
以上により、ウ が正解である。
次は設問2をみていきましょう。
だいたい何の試験でもそうだけれど、「必ず」という強調語がある選択肢は×なことが多いね(笑)
まず a だけど、回収期間法は毎期のCFが一定であれば使いやすいけれど、だんだんCFが増える投資案や最終年度にCFの発生が集中するような投資案の場合には必ずしも正味現在価値が正にならない場合もある。
次に b だが、まず、相互排他的投資案という言葉だけれど、2つの異なる投資案があり、どちらか一方を採用した場合、他方は却下されるという投資案のことをいう。内部利益率法(IRR)では、IRRの高いほうが常にNPVも高いわけではなく、金利の変化やリスク環境が異なる場合だとIRRでは対応出来ない場合もある。
次の c だが、得られるCFの符号が何回も変わる場合、複数の内部利益率を導く場合がある。
最後の d だが、要求利益率で割り引いたNPVが正だということは、NPV=ゼロにした場合の利益率、すなわちIRRも当然に要求期待率を上回ることになる。
以上により、 b と d が正しいので、エ が正解である。
結構細かいね。