財務会計【平成17年度 第13問】
【平成17年度 第13問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
CAPMによれば、i 株式の期待収益率 E ( Ri ) は、次のように表される。
E ( Ri ) =Rf + [ E ( Rm ) - Rf ] × βi
ここで、各記号の意味は次のとおりである。
Rf :リスクフリーレート
E ( Rm ) :市場ポートフォリオの期待収益率
βi : i 株式のベータ係数
この考え方によると、L株式のベータ係数が0.8、市場ポートフォリオの期待収益率が5.00%、リスクフリーレートが4%のとき、この株式の期待収益率は( A )%と求められる。同様に、M株式の期待収益率が6%で他の条件が同じならば、M株式のベータ係数は( B )と求められる。
また、CAPMでは、個別証券のリスクプレミアムと市場ポートフォリオのリスクプレミアムに一定の関係があることを示している。
(設問1)
文中の空欄AおよびBに入る最も適切な数値の組み合わせはどれか。
ア A:4.0 B:0.80
イ A:4.0 B:1.25
ウ A:4.8 B:1.25
エ A:4.8 B:2.00
オ A:5.0 B:0.80
(設問2)
文中の下線部について、最も適切な説明の組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 個別証券のリスクプレミアムは、市場ポートフォリオのリスクプレミアムを
当該個別証券のベータ係数で除したものに等しい。
b 個別証券のリスクプレミアムは、すべての個別証券について等しくなる。
c 個別証券のリスクプレミアムを当該証券のベータ係数で除したものは、
市場ポートフォリオのリスクプレミアムと等しい。
d 個別証券のリスクプレミアムを当該証券のベータ係数で除したものは、
すべての個別証券について等しくなる。
〔解答群〕
ア a と b イ a と c ウ b と c エ b と d
難しく書かれているようで実は計算式まで載せてくれていますからラクチンな問題だな。こういう問題こそ慎重にやっつけないといけないぞ。
まずは設問1からやっつけよう。
求めるのはL株式のCAPMと、M株式のベータ係数だ。
L株式について、ベータ係数=0.8 リスクフリーレート=4% 市場期待収益率=5% だから
L株式のCAPM=4%+(5%-4%)×0.8=4+0.8=4.8
M株式のベータ係数は、M株式の期待収益率が6%ってことは、M株式のCAPM=6%ってことだから、
M株式のCAPM6%=4%+(5%-4%)×M株式のベータ M株式のベータ=2
したがって、エ が正解だ。
計算ミスしないようにやっていけば問題なかったな。
次は設問2だ。
問題は、個別証券のリスクプレミアムと市場ポートフォリオのリスクプレミアムにおける“一定の関係”についてのようだ。わざわざCAPMモデルの式から始めて、個別証券の期待収益率まで出させているから誘導していたんだろうなと推測できるね。誘導に乗っかってやるか(笑)
以下、期待収益率をRm、リスクプレミアムをRpと記す。
L株式 Rm 4.8% Rp 0.8 β値 0.8
M株式 Rm 6.0% Rp 2.0 β値 2.0
市場ポートフォリオ Rm 5.0% Rp 1.0 β値 1.0
選択肢を検討してみる。
a 個別証券のリスクプレミアムは、市場ポートフォリオのリスクプレミアムを
当該個別証券のベータ係数で除したものに等しい。
個別証券のリスクプレミアム、例えば、L株式で、0.8 は、市場ポートフォリオのリスクプレミアム 1.0 を、当該個別証券のベータ係数、L株式のそれは0.8 で除したものに等しい?
0.8=1.0÷0.8 か?1.0÷0.8=1.25 だから違うな。
b 個別証券のリスクプレミアムは、すべての個別証券について等しくなる。
個別証券のリスクプレミアム、L株式、M株式だと、0.8と2.0だな。全然等しくならないやないけ。だからダメ。
c 個別証券のリスクプレミアムを当該証券のベータ係数で除したものは、
市場ポートフォリオのリスクプレミアムと等しい。
じゃ、L株式は、0.8÷0.8=1.0 で、市場ポートフォリオのRpと等しいな。
次は、M株式。2.0÷2.0=1.0 でこれも等しい。だからこれは合っているな。
d 個別証券のリスクプレミアムを当該証券のベータ係数で除したものは、
すべての個別証券について等しくなる。
確かめてみるか。
L株式は、0.8÷0.8=1.0 だし、
M株式は、2.0÷2.0=1.0 だし、これも等しいな。
以上により、エ が正解だ。