自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成17年度 第8問】

【平成17年度 第8問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 フリードマンを中心とするマネタリストは、経済政策を発動させるタイミングなどを考慮した場合、裁量的な経済政策は景気を不安定にさせる可能性があり、一定のルールに基づいた経済政策の発動を行うことが望ましいと主張した。この点について、たとえば、①k%ルールが提案された。
 経済政策のタイミングに関して、②経済状況を判断した上で経済政策が策定され、その効果が現れるまでの一連の時間を考えた場合、すでに景気が回復しているにもかかわらず、景気刺激策が発動され、かえって経済が不安定化する可能性がある。このような観点からも、マネタリストは、裁量的な政策よりもルールによる政策運営を重視すべきであると主張した。

 

(設問1)
文中の下線部①について、k%ルールの説明として最も適切なものはどれか。

ア 貨幣供給量を長期的な経済成長率に合わせて一定の率で増加させる政策
イ 公債を長期的な経済成長率にあわせて一定の率で増加させる政策
ウ 人口を長期的な経済成長率にあわせて一定の率で増加させる政策
エ 貯蓄率を長期的な経済成長率にあわせて一定の率で増加させる政策
オ 利子率を長期的な経済成長率に近い一定の率に維持する政策


(設問2)
文中の下線部②について、経済政策の発動が必要とされるか否かを判断することから始め、政策の効果が現れるまでには、さまざまなラグ(時間の遅れ)が発生する。そのラグを発生順に並べたものとして最も適切なものはどれか。

ア 決定のラグ→実施のラグ→認知のラグ→波及のラグ
イ 決定のラグ→実施のラグ→波及のラグ→認知のラグ
ウ 実施のラグ→認知のラグ→決定のラグ→波及のラグ
エ 認知のラグ→決定のラグ→実施のラグ→波及のラグ
オ 波及のラグ→認知のラグ→決定のラグ→実施のラグ

 

 

 

 

 

 

 

これって『石川の経済』を読んだことあれば分かるんですね。読んだことあるっつうか読んで記憶に残せば、という意味ですけど・・・。
設問1ってサービス問題ですね。設問2は少し考えれば分かります。
フリードマンは、価格の伸縮性と情報の不完全性を前提に景気循環を考えます。上方が完全であれば古典派の世界では貨幣供給量が2倍にあれば物価も2倍になります。貨幣のベール観のハナシです。ところが、フリードマンらのマネタリストは情報は不完全であるから裁量的経済政策が短期的には実体経済に影響を与えるのだと主張します。だから景気変動の原因は中央銀行による金融政策だと考えたのです。

また効果が出てくるまでの時間のずれを問題にしたのもフリードマンです。経済政策には認知ラグ、決定ラグ、実行ラグ、効果(波及)ラグがあるとしました。
認知ラグは金融政策にも財政政策にも生じるとし、経済状況からそれに気づくまでの時間を認知ラグとしました。それに対応した政策を決めるのにかかる時間を決定ラグ、政策を決定してから実行するまでにかかる時間を実行ラグ、その効果が現れるまでの時間を効果ラグとしました。
したがって、設問1の正解は、ア であり、
設問2の正解は、エ である。