自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成22年度 第15問】

【平成22年度 第15問】
 ある財の生産において公害が発生し、私的限界費用線と社会的限界費用線が下図のように乖離している。ここで、政府は企業が社会的に最適な生産量を算出するように1単位あたり t = BG の環境税の導入を決定した。その際、社会的な余剰は、どれだけ変化するか。最も適切なものは下記の解答群から選べ。

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〔解答群〕
ア 三角形BCE分の増加
イ 三角形CEHの減少
ウ 三角形CEH分の増加
エ 四角形BCEGの減少
オ 四角形BCEGの増加

 

 

 

 

 

 

本問も a ~ j の記号を付しておきます。

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平成23年度第24問は消費者側が外部不経済を発生させていましたが、本問は生産者側が外部不経済を発生させているという出題です。生産者側ですから供給曲線が限界費用線になりますね。

さて、本問も
①もともとの総余剰
②課税後の総余剰
を比較するだけの問題であり、コツさえ掴めばカンタンに解くことができる。

注意すべきは、税収は、消費者余剰+生産者余剰+税収とする点と、その税収に求め方にある。

それではじっくりと見ていこう。

まずは①もともとの総余剰を求めてみる。
もともとは、均衡点はE、価格はDだから、
消費者余剰→abcd
生産者余剰→fghij
であり、このときに外部不経済が発生するんだから外部不経済を算出する必要がある。均衡点はEだから生産量はDEである。均衡点Eのとき、私的限界費用線と社会的限界費用線の乖離はCE。生産すればするほど乖離幅が広がっていくんだから、
外部不経済→cdeghj

となる。ゆえに、総余剰は、
abcd + fghij - cdeghj = abfi - e となる。

次に課税後の総余剰を考える。
社会的限界費用線と需要線との交点はBだから需要量生産量ともABのときが社会的に数量となりますね。また、このときの私的限界費用線と社会的限界費用線との乖離はBGとなり、生産量=ABで乖離幅=BGとなるから税収は bcfg と出てくるわけ。同様に外部不経済も乖離=BG、生産量=ABで、作れば作るほど発生するんだから、外部不経済= cgj と分かる。
したがって、
消費者余剰=a
生産者余剰=ij
政府の税収=bcfg
外部不経済=cgj より、
② a + ij + bcfg - cgj = abfi が総余剰です。

したがって、①②を比較すると、環境税導入前は、abfi から e を引いたのが総余剰で合ったのに対して、環境税導入後は、 abfi が総余剰になっているから e の分、すなわち三角形BCE分が多くなったことになる。
ゆえに、正解は、ア である。