財務会計【平成20年度 第21問】
【平成20年度 第21問】
次の文章の空欄AとBに入る最も適切な語句の組み合わせを下記の解答群から選べ。ただし、手数料、金利等は考えないことにする。
現在1ドル105円の為替相場(直物)である。1ヵ月後に決済日が来る1万ドルの債権を有する企業が、1ドル104円で1万ドルのドル売り為替予約(1ヵ月後の受渡し)を行うとすると、1ヵ月後の為替相場にかかわらず、円手取金を確定できる。
このとき、1ヵ月後の為替相場(直物)が108円になると、為替予約をしなかった場合に比べて円手取収入は( A )。他方、1ヵ月後の為替相場(直物)が103円になると、為替予約をしなかった場合に比べて円手取収入は( B )。
〔解答群〕
ア A:3万円多くなる B:2万円少なくなる
イ A:3万円少なくなる B:2万円多くなる
ウ A:4万円多くなる B:1万円少なくなる
エ A:4万円少なくなる B:1万円多くなる
これを最初に解こうと思ったときはワケ分からなくなった。問題文が読めていなかったのだ。
この問題はね、「為替予約したとき」「直物のとき」「為替予約をしなかったとき」を別個に考えておく必要があるのだ。
考え方のプロセスはこうだ。
今、1ドル105円。1万ドルの債権を持っているから、1ドル105円なら、105万円と交換できる。
また、1ドル104円の為替予約を行うと、1万ドルの債権だから、104万円が確定する。
だから、
(直物) 105万円
(為替予約) 104万円
(損益) 1万円の損失
ということになる。
そこで、1ヵ月後の直物レートが108円になると、108万円と交換できるが、
(為替予約アリ) 104万円
(為替予約ナシ) 108万円
(損益) 4万円の損失 となる。
次に、1ヵ月後の直物レートが103円になった場合は、103万円と交換できるが、
(為替予約アリ) 104万円
(為替予約ナシ) 103万円
(損益) 1万円の益 となる。
したがって、エ が正解となる。
この問題は、為替予約をしなかった場合が直物レートであり、1ドル104円と直物を比べよ、という意味だったわけだ。今思えば、どうしてこんなカンタンな問題を、とか思ってしまう。