経済学・経済政策【平成18年度 第17問】
【平成18年度 第17問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
地球温暖化の影響が懸念される中、環境税の導入の是非について議論されている。ここでは、生産量に応じて公害が発生する1つの財に注目する。その財の私的限界費用曲線と社会的限界費用曲線、需要曲線が、下図のように描かれている。
(設問1)
市場が均衡する生産量と社会的に最適な生産量の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
〔解答群〕
ア A:市場均衡生産量:0X1 B:社会的最適生産量::OX2
イ A:市場均衡生産量:0X2 B:社会的最適生産量::OX1
ウ A:市場均衡生産量:0X2 B:社会的最適生産量:0X2-0X1
エ A:市場均衡生産量:0X2-0X1 B:社会的最適生産量:OX1
(設問2)
政府は、公害を発生させる財の生産を抑制するため、環境税の導入を検討しているとしよう。そこで、市場が均衡する生産量と社会的に最適な生産量を一致させる課税額(財1単位あたり)を表すものとして最も適切なものはどれか。
〔解答群〕
ア AF イ AO ウ BE エ DC オ FO
(設問3)
設問2の課税を前提として、課税前の社会的余剰と課税後の社会的余剰を比較して、その改善された余剰分を表す最も適切なものはどれか。
【解答群】
ア 三角形BCD
イ 三角形BCE
ウ 三角形BCF
エ 三角形CDF
この図にも予め①~⑧の記号を付しておきます。
市場が均衡するのは需要曲線と私的限界曲線との交点です。また税金が課せられた場合の均衡点は需要曲線と社会的限界費用曲線との交点でした。
設問1からいきましょう。カンタンです。
市場が均衡するのは点Cですね。ですから生産量はX2だし、
社会的に最適な生産量はX1の点です。ゆえに、イ が正解。
次は設問2。これもカンタンですよ。
負の外部性を取り除くための税金です。ですから私的限界費用曲線と社会的限界費用曲線との乖離分が税負担です。
社会的限界費用曲線と需要曲線との交点はBであり、そのときの生産量はX1だから線分BEが税額となる。ゆえに、ウ が正解である。
設問3だ。
次は余剰分析だから課税前課税後の余剰を比較してみよう。
課税前の均衡点はCだから、消費者余剰は①②③④であり、生産者余剰は⑥⑦⑧⑨⑩、外部不経済は③④⑤⑦⑧⑩です。総余剰は、
①②③④+⑥⑦⑧⑨⑩-③④⑤⑦⑧⑩=①②⑥⑨-⑤です。
また、課税後の均衡点はBだから、消費者余剰は①だけ、生産者余剰は⑨⑩、税収は②③⑥⑦、課税後の負の外部性は③⑦⑩ですから、総余剰は
①+⑨⑩+②③⑥⑦-③⑦⑩=①②③⑥⑦⑨⑩-③⑦⑩=①②⑥⑨です。
つまり、課税後は⑤の△BCDの分増えていることが分かります。
ゆえに正解は、ア である。
政府の税収は足し算しましょうね。政府の収入ですから。
補助金は政府の支出だからマイナスします。