自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成26年度 第20問】

【平成26年度 第20問】
下図には、企業R が直面する競争的な財市場における私的限界費用曲線、社会
限界費用曲線が描かれている。社会的限界費用曲線と私的限界費用曲線との乖離は、企業Rの生産活動に負の外部性が伴うことを意味する。この負の外部性の負
担者は企業Sのみであり、企業R との交渉を費用ゼロで行うことができる。また、
企業Rの生産活動に対して、政府は外部性を相殺するピグー課税を導入すること
もできる。この図に関する説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ただし、下図で、△aefを単にA、□acgfを単にB、△acdを単にC、△abdを単にDと
呼称し、価格はeで所与のものとする。

f:id:sk6960:20160303172415j:plain

〔解答群〕
ア コースの定理に従えば、生産量はmとなる。
イ 自由放任の活動下で生産量がnのときに発生している死重損失はC+D
  である。
ウ ピグー課税が導入されると、企業R の余剰はA+B になる。
エ ピグー課税が導入されると、政府の税収はB+C+Dとなる。

 

 

 

 

 

 

 

平成24年度第21問と同じ論点ですね。短い期間に同じ論点が出題される傾向が強いのも診断士試験の特徴です。
この図には需要曲線が描かれていません。したがって消費者余剰はゼロです。
また、企業Rが負の外部性を発生させ、その負担は企業Sのみであると仮定されています。そうすると、図中のDは死荷重であることが分かります。また、企業SはBCDを負担していることも図からわかります。
これらを踏まえて選択肢を見てみましょう。
ア。コースの定理に従えば、生産量はmですね。与件に交渉にかかる費用はゼロとありますし。
イは生産量がnのとき発生している死重損失はDです。
ウはピグー税が導入されたら企業Rの余剰はどうなるか、ですね。税金が導入されると企業Rの生産量はmになります。生産者の余剰は限界費用と価格線に囲まれた部分です。生産量がmのときは社会的に最適な生産量なのですから社会的限界費用曲線と価格線に囲まれたAが生産者余剰です。
エは税金が導入されると、生産量=m、私的限界費用曲線と社会的限界費用曲線との乖離分が税額ですから、税収はBの部分です。
以上により、正解は、ア である。