自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成21年度 第18問】

【平成21年度 第18問】
リスク選好度に関する下記の設問に答えよ。

(設問1)
下図の曲線は、ある消費者の所得と効用水準の関係を表したものである。この消費者のリスク選好度とリスクプレミアムに関し、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。ここで、リスクプレミアムの値は、この個人が合理的に期待する所得を保障する保険に対して支払ってもよいと考える保険料の額を表す。

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a この消費者はリスク愛好的である。
b この消費者はリスク回避的である。
c リスクプレミアムは負の値をとる。
d リスクプレミアムは正の値をとる。


〔解答群〕
ア a と c   イ a と d   ウ b と c   エ b と d

 

(設問2)
不況に直面したとき、企業は雇用を削減する必要に迫られる。労働者は解雇されれば大幅な所得減に直面するが、解雇されなければこれまでと同等の所得水準を維持できる。したがって、不況下では労働者は所得水準の変動リスクに直面することになる。一方、ワークシェアリングでは、すべての労働者が解雇されるわけではないものの、一定水準の所得減になる。リスク選好度に関して最も適切なものはどれか。

ア リスク愛好的な労働者はワークシェアリングを好む。
イ リスク回避的な労働者はワークシェアリングを好む。
ウ リスク中立的な労働者はワークシェアリングを好む。
エ リスクの選好度にかかわらず、どの労働者もワークシェアリングを好まない。

 

 

 

 

 

設問1です。
この曲線ですが、この曲線は逓減パターンの曲線になっています。逓減パターンの曲線になっているときこのグラフは「リスク回避的」を示します。なお、逓増パターンはリスク愛好的、一定パターンはリスク中立的のグラフを表します。

逓減パターンの「リスク回避的」グラフですが、原点から出だしのところが所得が少ないのに効用水準が高くなっていることが分かります。これは所得が少なくても効用水準が高く満足している状態ですからローリスクローリターンなのです。
また、リスク回避的な消費者であれば、期待値が正の値でないとダメですから当然にリスクプレミアムも正の値をとります。
したがって、この消費者はリスク回避的であり、リスクプレミアムが正の値でないと保険にすら入りません。
ゆえに、b と d が正しいので、エ が正解である。

設問2に移ります。
この場合のリスクとは所得維持なのか所得減なのかというリスクではなく、職を失わないか失うかがリスクになっています。
ですから、リスク愛好的な労働者は所得維持を望むのでワークシェアリングを好みません。
リスク中立的な労働者は所得維持という期待値が0より小さい場合はワークシェアリングを好みません。
リスク回避的な労働者は職を失うことがリスクだと考えますからワークシェアリングを好みます。
したがって、正解は、イ である。