経済学・経済政策【平成24年度 第23問】
【平成24年度 第23問】
下表は、「囚人のジレンマ」として知られる非協力ゲームの利得表である。いま、2
人の個人(個人Aと個人B)が1度限りの取引を行い、2つの選択肢(自らの選好
を「正直に表明」するか、「過小に表明」する)のいずれかを選択することができる。
なお、以下の表中にあるカッコ内の値は、それぞれ左側が個人Aの利得、右側が個
人Bの利得を示している。この表から得られる記述として、最も適切なものを下記
の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 個人Aが非協力的に利得の最大化をめざすならば「過小に表明」を選択する。
イ 個人Aにとって「正直に表明」を選択するのが支配戦略である。
ウ 個人Aは、個人Bの選択に応じて最適な行動を変化させる。
エ 個人Bが「正直に表明」を選択してくれることが確実であれば、個人Aも
「正直に表明」を選択することが合理的である。
利得表を見ると大して複雑ではありません。ナッシュ均衡はともに「過小に表明」ですし、フォーク定理によれば、ともに「正直に表明」です。
いきなり選択肢を見てみましょう。
アは、個人Aが非協力的だということは相手の意向なんて関係ないってことですから、自分の利得が最大になる「過小に表明」を選択します。
イは、Aにとっては「正直に表明」すると、利得が2と0にしかなりません。一方、「過小に表明」すれば利得は4と1です。ですから「正直に表明」することは支配戦略ではありません。
ウは囚人のジレンマゲームでは相手の行動を知ることは出来ないので不適。
エは、Bが「正直に表明」してくれれば自分も、って思うのですが、個人Aの合理的な選択は“自分の利得を最大にすること”です。ゆえに「過小に表明」を選択するので不適です。
以上により、正解は、ア である。