自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

財務会計【平成19年度 第6問】

【平成19年度 第6問】
 株主資本の前期末残高は次のとおりである。利益剰余金の配当以前に当期における株主資本の変動はなく、決議された配当の総額200百万円は適切であるとする。このとき、利益剰余金と繰越利益剰余金の増加または減少の金額として、会社法および会社計算規則に照らして最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ(単位:百万円)。

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〔解答群〕
ア 利益剰余金:18の減少    繰越利益剰余金:182の減少
イ 利益剰余金:20の増加    繰越利益剰余金:220の減少
ウ 利益剰余金:22の増加    繰越利益剰余金:222の減少
エ 利益剰余金:80の増加    繰越利益剰余金:280の減少

 

 

 

 

 

 

 

会社法では株主への配当を行う際に、資本準備金利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで、株主への配当金の10分の1を利益準備金として積み立てることを要求しています。

本問の場合、資本金=2,400 資本準備金=400 利益準備金=120 ですから
・資本金の4分の1=600
・準備金の合計=520    ですね。
株主への配当金は200百万円ですからその10分の1=20 です。

準備金の合計520が、資本金の4分の1である600に達するまで、配当金の10分の1の20を積み立てる必要があるということです。

はっきり言って分かりにくいですね。

じゃ、こうしましょう。

  『配当金の10分の1と利益準備金積立可能額のいずれか小さい方の額』

を積み立てればよい、という感じでいかがでしょうか?

資本金の4分の1は600で、準備金の合計は520ですから、600に達するにはあと80積み立てる必要があります。このときの80を利益準備金積立可能額といいます。
でも、配当金の10分の1は20ですから20を超えて積み立てることは出来ません。
「達するまで」の「まで」とはその額にならなければならないことを意味するのではなく、「配当金の10分の1と利益準備金積立可能額のいずれか小さい方の額」を積み立てればよいという解釈です。

したがって、本問の場合
・配当金の10分の1 → 20
・資本金の4分の1から利益準備金の合計を引いたもの → 520
ですから、20を積み立てればいいわけです。
ゆえに、利益剰余金には20を積み立てます。この段階で正解はイと分かりますね。

なお、配当は繰越利益剰余金から200百万円拠出していますから、配当額の200百万円と、配当の10分の1である20百万円を拠出していることから繰越利益剰余金は220百万円減少することになります。

以上により、正解は、イ である。

ここでは繰越利益剰余金から配当を出していますが、
株主への配当は資本剰余金からでも利益剰余金からでもOKです。
ただし、資本剰余金(資本準備金+その他資本剰余金)から出した場合は資本剰余金に配当の10分の1を積み立てる必要があります。
また、利益剰余金(利益準備金+任意積立金+繰越利益剰余金)から配当を出した場合には利益剰余金に配当の10分の1を積み立てる必要があります。

いずれの場合でも配当の10分の1に相当する額と利益準備金積立可能額のいずれか小さいほうを積み立てればよいわけです。