経済学・経済政策【平成24年度 第17問】
【平成24年度 第17問】
下図は、2つの財(X財とY財)のみを消費する消費者の効用最大化行動を描いたものである。当初の予算制約線はABで与えられ、効用を最大にする消費量の組み合わせは、無差別曲線U1との接点すなわち座標(G,E)として与えられている。
このとき、X財の価格が下落し予算制約線がACへと変化すると、効用を最大にする消費量の組み合わせは無差別曲線U2との接点すなわち(I,D)へと変化する。なお、補助線(破線)は、予算制約線ACと同じ傾きを持ち、無差別曲線U1と接するものとする。
この図の説明として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア X財に生じた所得効果は線分HIの長さで測られ、Y財に生じた所得効果は線
分EFの長さで測られる。
イ X財の価格の低下は、X財の消費量の減少を引き起こしている。
ウ X財はギッフェン財である。
エ Y財に生じた所得効果の絶対値は、Y財に生じた代替効果の絶対値よりも大
きい。
オ 座標(H,F)の効用水準は、座標(G,E)の効用水準よりも低い。
さぁさぁ、スルツキー分解に入ってきましたよ~。ここは苦手とする受験生は多いのでしょうかね? コツさえ掴めばカンタンです。そのコツを掴むのに結構時間がかかりましたけどね。まぁ、合格してからそういうことを言いましょう(泣)
最初に確認すべきは以下の点です。
・もともとの予讃制約線 → AB
・もともとの均衡点 → (G,E)
・X財の価格下落 → 点Bから点Cへシフト
・新しい無差別曲線との交点 → (I,D)
ここでは、X財の価格が下落していますから、下落した財の需要量は増えます。だから点Bから点Cにシフトしているのです。
シフト後の予算制約線ACと平行な補助線が破線です。もともとの無差別曲線U1とその破線との接点で代替効果をジャッジし、シフト後の予算制約線ACとU2の接点で所得効果をジャッジします。
ここまで確認できればOKですね。
あ、代替効果は「安くなったから買っちまおう」で、
所得効果は「安く買えた分だけ予算が余るけどどうすっかなー」です(笑)
選択肢を検討します。
アです。
X財→代替効果:GH 所得効果:HI
Y財→代替効果:EF 所得効果:FD ですから不適。
イです。
X財の価格下落はX財の消費を増やします。よって不適。
ウです。
ギッフェン財は所得効果の減少分が代替効果の増加分を上回る財です。いろんな言い方が出来ますね。
上級財や中立財、下級財、ギッフェン財などは所得効果で判断します。
X財の所得効果はHIで測れますので増えていますね。よってギッフェン財ではないです。不適。
エです。
Y財に生じた所得効果はFDです。Y財に生じた代替効果はEFでした。FDとEFの長さを比べれば一目瞭然です。これは正しい記述。
オです。
座標(H,F)も座標(G,E)もU1という同一の無差別曲線上の点ですから効用水準は同じですね。よって不適。
以上により、正解は、エ である。