自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成19年度 第16問】

【平成19年度 第16問】
 現在、日本経済では、金利が非常に低い水準にあるが、今後は金利の上昇が見込まれている。その金利上昇の消費への影響を、所得効果と代替効果から分析を行う。下記の設問に答えよ。


(設問1)
 多くの金融資産を持っている高齢者について、金利上昇の所得効果と代替効果による現時点での消費への影響に関して、最も適切なものの組み合わせはどれか。

ア 所得効果:減少  代替効果:減少
イ 所得効果:減少  代替効果:増加
ウ 所得効果:増加  代替効果:減少
エ 所得効果:増加  代替効果:増加
オ 所得効果:増加  代替効果:なし

(設問2)
 現在、住宅ローンあるいは借金生活を余儀なくされている労働者が、変動金利で借金をしているとすれば、金利上昇の所得効果と代替効果による現時点での消費への影響に関して、最も適切なものの組み合わせはどれか。

ア 所得効果:減少  代替効果:減少
イ 所得効果:減少  代替効果:増加
ウ 所得効果:増加  代替効果:減少
エ 所得効果:増加  代替効果:増加
オ 所得効果:増加  代替効果:なし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフを示さない暴挙に出ています(笑) まぁ、こういう形での出題も想定しておかないといけないということでしょうか。
さて、この問題は異時点間の消費と貯蓄に関する問題ですね。金利が上昇したときに、現在の消費を貯蓄に回した場合、現在の消費は減るけれども将来の消費が増えるという論点です。
設問をみてみましょうか。
設問1です。金利上昇と現時点での消費への影響というところに気をつけましょう。
金利が上昇すると、消費を減らして貯蓄にまわします。そのほうが将来の消費が増えるからです。
また、現在貯蓄している分も金利上昇により額が増えます。ですから、所得が増加したことになります。
なお、代替効果は「金利が上がったから貯蓄を増やそう」であり、所得効果は「金利上昇分で所得が増えたから消費に使おう」ですね。
ゆえに、消費に関する代替効果は減少だし、所得効果は増加です。
したがって、正解は、ウ である。

次の設問2は借り入れがある労働者が登場します。
借り入れのある労働者ですから、金利が上昇すると返済すべき額が増加します。ですから、現時点でも将来返済すべき額が多くなることは承知していますから、消費を貯蓄に回して、金利上昇分を返済に充てようとします。
一方、すでに借り入れた部分の金利も上昇していますから返済に充てるために消費は増えません。
よって、金利上昇による代替効果は金利上昇で貯蓄したほうが将来使える額が増えるから現在の消費は「減少」、所得効果は現在借り入れている分にも金利がかかり返済額が増えるので消費は「減少」。
ゆえに、正解は、ア である。