自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成23年度 第20問】

【平成23年度 第20問】
 完全競争下における企業の短期供給曲線の説明として、最も適正なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
 
a 「価格=限界費用=平均費用」のとき、操業停止の状態に陥る。
b 「価格=限界費用>平均費用」のとき、利潤は黒字になる。
c 「価格=限界費用=平均可変費用」のとき、利潤は赤字になり、その赤字幅
  は可変費用に等しくなる。
d 「平均費用>価格=限界費用>平均可変費用」のとき、利潤は赤字になるが、
  可変費用の全てを回収した上で、固定費用の一部をまかなった状態にある。


〔解答群〕
ア a と c   イ a と d   ウ b と c   エ b と d

 

 

 

 

 

 

 

費用曲線の問題です。
完全競争下では、限界費用MCと価格Pがイコールになったところで利潤最大となります。また平均費用と平均可変費用の関係を整理しておく必要もあります。
平均費用は平均可変費用固定費用です。
また、費用関数を生産量で除したものが平均費用でもあります。
費用関数のうち、生産量に関わる部分を生産量で除すると平均可変費用が出てきます。

(例)  総費用関数 C(x)=x3+x2+x+15 ・・・①

 のとき、①を生産量xで割り算したものが平均費用。
 ①の生産量に関係する部分、x3+x2+x を生産量xで除すると平均可変費用
 ①を微分したものが限界費用関数です。

なお、生産量xの項は可変費用、「+15」の部分が固定費用を表します。

ここで、平均費用=AC、平均可変費用=AVC、限界費用=MCとしましょう。
先の例から、平均費用ACよりも平均可変費用AVCの方が小さいことがわかります。グラフで示すなら、ACがAVCの上に位置するということになります。

そこで、平均費用AC=限界費用MCの点を損益分岐点といいます。
1単位生産するのに必要な費用と生産量を1単位増加させたときに得られる費用がイコールですから損益分岐点といいます。すなわち利潤がゼロのときです。
また、平均可変費用AVC=限界費用MCである点を操業停止点といいます。
平均可変費用は変動費みたいなものです。
つまり、ACとAVCの間は固定費用だということになります(正確に言えば平均固定費費用です)。

最初に、限界費用MC=価格Pのとき、企業は利潤が最大化されると書きました。
こういうこともいえます。
限界費用MC=価格PがAC、AVCよりも高いとき、利潤が出ている。
MC=Pが、ACより低くて、AVCより高いとき、利潤は出ていないが固定費用の一部を回収できている。
MC=Pが、AC、AVCよりも低いとき、利潤はおろか、固定費用すら回収できていない。

これらを踏まえて選択肢を検討しましょう。

まずはaです。価格=限界費用=平均費用のときは損益分岐点です。だから操業停止点ではないので不適。
次にbですが、価格=限界費用>平均費用のときは利潤が出ている状態です。ですから正しい記述です。
次にcです。価格=限界費用=平均可変費用のときは操業停止点でしたね。利潤は赤字です。操業停止点ですから可変費用部分しか回収できていません。つまり、固定費用の部分が赤字になっていますから、本肢は不適だということになります。
最後にdですが、平均費用>価格=限界費用>平均可変費用のときは、平均費用と平均可変費用の間に価格があるということです。可変費用は回収できていて、固定費用の一部も回収できているが、損益分岐点よりも下方なので利潤は黒字ではない状態ですね。よって正しい記述です。
以上により、正解は、エ である。