経営法務【平成21年度 第3問】
【平成21年度 第3問】
個人で雑貨の輸入業を営んでいる甲氏とあなたとの間の会話を読んで、会話中の空欄に入る説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
甲 氏:「先日、ひょんなことから同業者の乙という方と知り合って、会社組織
にして、一緒に仕事をしようということになったんです。ただ、乙さ
んも私も、ノウハウや在庫はあっても、現金はあまり持っておらず、
資本金200万円くらいにしかなりません。これで会社は設立出来るの
ですか。」
あなた:「今は、資本金200万円でも株式会社を設立することは出来ますよ。」
甲 氏:「そうなんですか。でも、資本金200万円だと、取引先の信用が得られ
ないような気もするんですよね・・・。うーん・・・。」
あなた:「それでしたら、甲さんと乙さんが持っている在庫などを現物出資し
て、資本金に組み入れることを検討してはいかがですか。」
甲 氏:「へえ、そういったことができるのですか。私が保有している在庫など
はたぶん400万円くらいありますから、乙さんのもあわせると資本金
は1,000万円くらいになるかもしれませんね。それなら、取引先から
も十分に信用を得られそうですね。」
あなた:「( )」
〔解答群〕
ア 800万円を現物出資の金額とすると、裁判所が選任する検査役の調査が必要
になりますが、例外として、弁護士や税理士などの証明書があれば、検査役
の調査は不要になりますよ。
イ 現金による出資金と現物出資の金額が併せて500万円を超えると、裁判所が
選任する検査役の調査が必要となりますから、現物出資の金額は280万円く
らいにした方がよいでしょう。
ウ 現物出資の金額が300万円を超えた場合、裁判所が選任する検査役の調査が
必要になります。そうすると、費用も時間もかかることになりますから、ご
注意ください。
エ そうですね。資本金1,000万円程度であれば、現物出資をするうえで何の問
題もありませんから、すぐに現物出資して会社を設立しましょう。
株式会社設立時における現物出資を問う問題だ。
選択肢は2個消せる。残る2個のチョイスで迷う、みたいな問題だね。実にいやらしい。一つずつ吟味するしかないか。
アだが、現物出資800万円だと検査役の調査は必要。だから前段は正しい。問題は後段だな。例外として、弁護士や税理士の証明書があれば検査役の調査が不要になるってところが正しいのか間違っているのか、だな。スピテキには、弁護士、公認会計士、税理士等の評価を受けた場合は調査不要だって書いてあったな。「評価を受けた」? 証明書? ん、保留。
イは、現物出資の額が500万円を超えると調査が必要だから不適。
ウは、300万円ではなく、500万円だから不適。
エ。だいたい、「何の問題もありません」とかいう選択肢は誤りなことが多いやね。1,000万円を資本金にするとしたら、現金が200万円だから現物出資は800万円となる。そうすっと検査役の調査が必要になってしまうから「何の問題も」ないことはない(笑)
以上により、保留にしていたア が正解になる。