自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成24年度 第19問】

【平成24年度 第19問】
 完全競争市場の下で、ある任意の財を生産・販売する企業を考える。当該企業の総収入曲線と総費用曲線が下図のように描き出されるとする。ただし、総費用曲線は、固定費用が存在するためにD点を切片として生産量に応じて変化し、総収入曲線とA点およびC点で交差している。また、総収入曲線と同じ傾きを持つ補助線(破線)も描かれており、補助線はB点で総費用曲線と接している。
 この図の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

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〔解答群〕
ア C点では、限界収入=限界費用という条件が満たされている。
イ Q2より生産量が増えると、当該企業の利潤は増加する。
ウ 合理的な当該企業が利潤最大化するように選択した生産量から得られる利潤
  の大きさは、A点、B点、C点を結んで形成されるレンズ型の面積の大きさによっ
  て示される。
エ 生産量がゼロのとき、当該企業の利潤は負である。
オ 横軸上のQ1からB点までの高さは、合理的な当該企業が利潤最大化するよう
  選択した生産量から得られる利潤の大きさを意味している。

 

 

 

 

 

 

 

少しおさらいしてみますか。
直線の式は総収入曲線ですから、点Bと接する補助線は限界収入曲線でもあります。さらに、総費用曲線との接線でもありますからこの補助線は限界費用曲線でもあります。
点Bは、総費用曲線上の接点であり限界費用曲線上の接点でもあり限界収入曲線上の接点でもあるから、点Bにおいて、限界収入曲線と限界費用曲線の傾きが等しいことを意味しています。つまり点Bは限界費用=限界収入であることを表しているということです。
完全競争市場下の企業の利潤最大化条件は、限界収入=限界費用=価格にすることですから、当該企業が利潤を最大化できる生産量は限界収入=限界費用の点です。すなわち点Bですね。
このときの利潤は、収入から費用を引き算したものです。
与件より、当該企業の総費用曲線は固定費用が存在しますから生産量がゼロだと収入もゼロなのに費用だけかかってしまい、利潤はマイナスになることが分かります。また、収入=費用である点は損益分岐点ですから、点Aおよび点Cは損益分岐点であることがわかります。

以上を踏まえて選択肢を検討します。
ア:C点は損益分岐点ですから、「収入=費用」の点です。限界収入と限界費用が等しくなる点は限界費用曲線と限界収入曲線の傾きが一致する点であり、それは点Bです。ゆえに不適。
イ:点Cは損益分岐点でありこれ以上生産量が増加すると収入よりも費用の方が上回ります。ですから利潤は増加しません。利潤はマイナスです。ゆえに不適。
ウ:当該企業の利潤最大化条件は限界費用=限界収入の点、つまり生産量をQ1にすることです。利潤=収入-費用ですから、利潤が最大化するときの収入から費用を引き算した部分が利潤です。つまり生産量Q1において収入から費用を引いた値です。レンズ型の面積部分ではないです。
エ:生産量がゼロのとき、つまり縦軸切片上であると、収入ゼロ、費用は固定費用分かかるわけですから利潤はマイナスです。ゆえに本肢は正しい。
オ:ウの肢のとおりですが、Q1から点Bまでの高さは、生産量がQ1のときの費用ですから不適。
以上により、正解は、エ である。