経済学・経済政策【平成17年度 第13問】
【平成17年度 第13問】
範囲の経済性に関し、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 電力会社において、配電サービスと送電サービスを別々に行うよりは一緒に
行ったほうがコストが軽減される場合、範囲の経済性が存在するといえる。
b 異なる製品の生産で共通コストがある場合に、それらの生産を一緒に行うこ
とで、範囲の経済性を実現することが可能である。
c 自然独占が成立する場合、範囲の経済性が存在するといえる。
d 通信会社において、限られた地域の通信サービスが長距離通信サービスを一
緒に行うよりも別々に行ったほうがコストが軽減される場合、範囲の経済性が
存在するといえる。
〔解答群〕
ア a と b イ a と c ウ b と c エ b と d
範囲の経済性とは、ある企業が複数の財を生産・販売する場合に、それぞれを別々に生産・販売するよりも複数の財を同時に生産・販売したほうが総費用が安くなるという経済効果のこと。
多品種少量生産や事業の多角化などは範囲の経済が働く。
一方、規模の経済とは、生産規模や生産量を高めるほど、固定費が分散されて製品単位当りの平均コストが減少し、競争上有利になるという効果のことです。
同一のモノをガンガンといったイメージでしょうか。
さて、本問は範囲の経済性について問われています。
異なるモノを同時に、といったイメージでしょう。
選択肢を検討します。
ア:配電と送電を同時に行うことでコストメリットが生じるなら、それは範囲の経済です。ゆえに正しい記述です。
イ:異なる製品を同時に生産することでコストメリットが生じるなら、それも範囲の経済です。ゆえに正しい記述。
ウ:自然独占は平均費用が逓減しますから範囲の経済とはいえないのでダメです。
エ:別々にサービスを行った場合は範囲の経済とはいいません。
以上により、正解は、ア である。