自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経営法務【平成23年度 第3問】

【平成23年度 第3問】

A株式会社(以下「A社」という。)とB株式会社(以下「B社」という。)は、A社を吸収合併消滅会社、B社を吸収合併存続会社として、おおむね以下のスケジュールで吸収合併を実施する予定である。その際、A社の吸収合併の手続きに関する記述として最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、A社の定款には、関連する事項について特段の定めがなく、また、A社は、発行する株式全てが譲渡制限株式であり、かつ、取締役会設置会社であるものとする。

 

 平成24年2月20日(月) 吸収合併契約の調印

 平成24年3月14日(水) 吸収合併契約承認の株主総会

 平成24年4月1日(日)   吸収合併の効力発生日

 

〔解答群〕

ア A社では、吸収合併契約書を本店に備え置く必要があるが、本件の場合、吸収

  合併契約調印の翌日の平成24年2月21日から備え置きを実施しなければ、本

  件吸収合併は無効となる。

イ A社の株主に対しては、株主総会の招集通知と株式買取請求権に関する通知を

  しなければならないが、前者は株主総会の1週間前まで、後者は吸収合併の

  効力発生日の20日前までと決まっているので、同時に通知することは出来な

  い。

ウ A社の債権者が1社だけの場合であっても、A社では、その債権者に対して本

  件吸収合併について通知するだけでなく、吸収合併の公告を行わなければな

  らない。

エ 今回の吸収合併の場合、効力発生日が日曜日にあたり、法務局で登記を受け

  付けてもらえないため、A社の登記上、解散の理由は、実際に登記申請した日

  に合併した旨記載され、平成24年4月1日に合併した旨は記載されない。

 

 

 

 

 

 

 

A社が消滅、B社は存続会社です。

それぞれの選択肢のポイントは、

ア 本店に備え置く/契約調印の翌日から備え置く

イ 同時通知が出来ない

ウ 1社だけでも公告必要

エ 日曜日だと登記されない

ってところになりまそうです。

そもそも吸収合併は、合併された方は会社が消滅します。また吸収合併の場合、契約書の備え置きは必要だし、債権者保護手続きも必要です。また合併はすべての会社で行うことが出来ます。

では選択肢の検討にはいりましょう。

アですが、契約書を本店に備え置くという記述は正しい記述です。問題はその次です。契約調印の翌日から備え置く必要があるのかってところですね。ちょっと分からないので保留しましょう。

イですが、株主総会の招集通知は株主総会の1週間前まで、株式買取請求権の通知は20日前までとしていますから、これって同時に通知することができますよね。株主総会の招集通知は開催の1週間前までにすればいいんだから、株式買取請求権の通知と同時にすればちゃんと1週間前を担保出来ます。ですからイは不適です。

ウです。本件の場合、消滅するのがA社ですから債権者保護の観点からそれがたとえ1社であっても公告は必要です。それに吸収合併は債権者保護手続きは必須ですから行う必要があると考えられます。

エについては、4月1日が日曜日であっても登記されます。事業年度の開始日を4月1日にしているところは多いでしょうし、日曜日だから受け付けないのは具合が悪すぎるよねぇ。だからエは不正解の候補です。

そうすると、正解は、保留したアか、ウになりそうです。

ちなみに、アの備え置きですけど、実は株主総会の2週間前から備え置けばオーケーということになっています。だから2月28日に備え置けば大丈夫ですので、正解は、ウ ということになります。