自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成17年度 第14問】

【平成17年度 第14問】
 企業にとって、ライバル企業より先行して行動するか、それともライバル企業の動きを見た後に行動するかは、戦略上重要な意味を持つ。ここで、ある製品の市場で競合している寡占企業2社A、Bを考える。両者は、コスト構造が同じで、生産量を戦略変数として競争している。それぞれの反応関数は、下図のように表されている。このとき、a~dの記述について、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

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〔解答群〕
a 企業Aが均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その生産量に対応
 する企業Bの最適な生産量は、企業Aの生産量よりも少なくなる。
b 企業Aが均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その生産量に対応
 する企業Bの最適な生産量は、企業Aの生産量よりも多くなる。
c 企業Aが先に均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その利潤は企
 業Bが獲得できる最大の利潤より大きく、先行者利益が存在する。
d 企業Aが先に均衡値(クールノー均衡値)より多く生産すれば、その利潤は企
 業Bが獲得できる最大の利潤より小さい。したがって、先行者利益が存在しない。

〔解答群〕
ア a と c
イ a と d
ウ b と c
エ b と d

 

 

 

 

 

 

 

企業A、Bは生産量で競争しています。生産量で競争ですからクールノー均衡またはシュタッケルベルク均衡が考えられます。選択肢に「クールノー均衡値」とあるのでクールノー均衡を考えることにしましょう。
クールノー均衡では自社の利潤が最大になるように生産量を決めます。双方とも追随者となり、反応関数の交点で均衡します(クールノーナッシュ均衡)。
ですが、選択肢のcとdには「先行者」と書いてあるのでシュタッケルベルク均衡の論点も考慮すべきではないかと思います。

それではこれらを踏まえて選択肢の検討に入ります。
aですが、クールノー均衡では企業Bは企業Aよりも生産量を多くすることが出来ません。ですから企業Aよりも少なくなるとした記述は正しいことが分かります。
bは反対の記述だから不適。
cは、先行者という用語があることからシュタッケルベルク均衡を考えます。シュタッケルベルク均衡では先導者(先行者)有利となりますから本肢の記述は正しいことが分かります。
dは反対で存在しないとあることから不適だと分かります。
以上により、正解は、アである。