自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成22年度 第12問】

【平成22年度 第12問】
 下図は、独占的競争下にある企業の短期均衡を描いたものである。Dは需要曲線、MRは限界収入曲線、ACは平均費用曲線、MCは限界費用曲線である。このとき、利潤最大化を前提とした価格はP0、取引量はQ0に決定される。

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 この図の説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 独占的競争では、少数の企業が相互に差異化した財・サービスを供給する。
b MR=MCが成り立つところで利潤が最大になり、P>ACであるために企業の
 利潤は黒字になる。
c 短期均衡において企業の利潤が黒字であるために、新たな企業の参入が生じ、
 1社あたりの需要が減少して需要曲線が左方にシフトする。
d 企業の利潤が黒字である限り、新規参入が継続し、短期均衡における利潤は
 ゼロになる。


〔解答群〕
ア a と b   イ a と c   ウ b と c   エ b と d

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

独占的競争市場とは、短期的には独占市場の性質を表し、長期的には競争市場の性質を表すという両方の要素を兼ね備えた市場のことをいいます。
当初は新製品を投入したのは1社だけであったが、参入障壁が低い場合に新規参入が相次ぎ、競争市場になってしまうような市場という理解でいいですね。
「じゃぁ、完全競争市場と何が違うのだ?」
ということになりますねぇ。
それなら独占的競争市場の定義をこうしましょう。
「市場において、供給者が多数存在し競争的ではあるがある程度、商品が差別化されている市場」というのはどうでしょう?
完全競争市場では、競争によって財は同質化しますが、
独占的競争市場においては、競争によって財は差別化されます。
いずれも競争者は多数存在します。
完全競争市場に比べ、商品の同質性が欠落した市場、ともいえますね。

この独占的競争市場における企業の利潤最大化条件は、MC=MRになるように価格と生産量が決まるというところです。

もう少し細かく見ましょう。
独占的競争市場においては、短期均衡と長期均衡の2つを考える必要があります。
この市場では、単に商品の同質性が欠落し、競争者が多数存在している市場です。
<短期均衡>
・ある企業の利潤はプラス
・新規参入が相次ぎます
・利潤=ゼロになるまで新規参入が続きます
・すると長期では利潤=ゼロとなります
※利潤とはその市場における全体の利益のことです。これ以上新規参入があっても利潤ゼロですから参入は起きないと考えます。
<長期均衡>
・独占的競争市場は参入退出自由で供給者多数
・供給者多数なのである企業が直面する需要曲線は左シフト
 (全体の需要は決まっていますからね)
・だから当然に利潤はゼロになる

このあたりがポイントになるんだろうけど、どうでしょうか。

選択肢を見てみます。
a:独占的市場は少数の企業ではなく、供給者多数でした。ゆえに不適だと分かります。「相互に差異化した財・サービス」の提供は正しい記述です。
b:独占的競争市場もMR=MCが利潤最大化条件です。P>ACであれば、価格が平均費用を上回りますので利潤はプラスです。ゆえに正しい記述。
c:短期では企業の利潤はプラスです。だからこそ新規参入が相次ぎ1社あたりの需要は減少します。そのため需要曲線が左シフトします。よって正しい記述です。
d:利潤が黒字である限り新規参入は続きます。前段は正しいですね。
利潤がゼロになるのは長期均衡ですね。ですから「短期」とする本肢の記述は不適です。
以上により、正解は、ウ になります。