経済学・経済政策【平成26年度 第19問】

【平成26年度　第19問】
　下図は、独占市場におけるある企業の短期の状況を描いたものである。ＡＣは平均費用曲線、ＭＣは限界費用曲線、Ｄは需要曲線、ＭＲは限界収入曲線であり、独占企業が選択する最適な生産量は、ＭＣとＭＲの交点で定まるＷとなる。この図に関する説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕
ア　この独占企業が得る利潤は、□ＡＬＭＢで示される。
イ　この独占企業が得る利潤は、□ＡＬＮＣで示される。
ウ　生産量Ｗのとき、限界収入曲線が平均費用を下回るため、□ＢＭＮＣの損失
　　が発生する。
エ　生産量Ｗのとき、需要曲線が平均費用を上回るため、□ＡＬＭＢの損失が発
　　生する。

実のところあまり難しい問題ではありません。むしろ基本問題ともいえるでしょう。
与件に、「独占企業選択する最適な生産量は、ＭＣとＭＲの交点で定まるＷ」とあります。ＭＲ＝ＭＣが利潤最大化条件ですから、利潤最大化を満たす生産量がＷだということになりますです。
そうすると、生産量Ｗだし、需要量もＷだし、価格はＡです。価格ＡとＭＣ、ＡＣを比べてみましょう。
生産量Ｗ（線分ＬＷ）において、ＡＣ（点Ｍ）もＭＣ（点Ｎ）も価格Ａより下方に位置しています。
つまり平均費用よりも限界費用よりも価格が高いので当然に利潤が発生することになります。ゆえにこの時点で選択肢のウエは消去です。
また、生産量Ｗのときの価格＝Ａですね。
生産量Ｗのときの平均費用ＡＣ＝Ｂですね。
生産量Ｗのときの限界費用ＭＣ＝Ｃですね。
利潤は、利潤＝収入－費用です。
原点をＯとすると、
生産量Ｗのとき、価格＝Ａですから収入は□ＡＬＷＯです。
同様に、平均費用＝Ｂですから費用は□ＢＭＷＯです。
したがって、利潤は□ＡＬＷＯ－□ＢＭＷＯ＝□ＡＬＭＢですね。
以上により、正解は、ア　である。

なお、点Ｌはクールノーの点といいます。
生産量と需要曲線との交点であるクールノーの点で価格が決まります。