経営法務【平成17年度 第14問】
【平成17年度 第14問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
コンピュータ・プログラムは、著作権法、特許法、不正競争防止法による保護の対象となる。
すなわち、ハードウエアとソフトウエアを一体として用いることによるアイデアの実現は( A )により、プログラムの設計、すなわち特定の機能をどのような処理手順で実現するかに係る設計の部分は( B )により、以上に基づき作成されるソースコードは( C )により、それぞれ保護の対象となる。
このうち、著作権法による保護は、コンピュータ・プログラムの( )を保護するものである。したがって、ある機能を実現するプログラムαがあるとき、これと同じ機能を実現するプログラムβが( D )場合は、プログラムβはプログラムαの著作権を侵害しているということが出来る。
(設問1)
文中の空欄A、B、Cに入る語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
C:著作権法
エ A:特許法 B:不正競争防止法
C:著作権法
(設問2)
文中の空欄Dに最も適切なものはどれか。
ア 秘密として管理されているプログラムαの技術ノウハウを使用している
イ プログラムαと実質的に同一の表現を用いている
ウ プログラムαの技術的思想を模倣したものである
エ プログラムαよりも後にプログラム著作権の登録がされている
さて知的財産権に突入しました。
のっけからイヤな問題ですなぁ。各知的財産権を横断的に問うています。
そもそもアイデアそのものは著作権に該当しませんね。また、プログラム言語やプロトコルも著作権には該当しません。一方、ソースコードは著作権として保護されます。
設問1からいきましょう。
空欄Aは、「アイデアの実現」とあります。アイデアは著作権には該当しませんからアは消去できます。また、このアイデアが営業秘密になる場合には不正競争防止法の適用を受けます。ですから、今のところウが正しいように思えます。
次いで空欄Bですが、「どのような処理手順で実現するかに係る設計の部分」とあります。プログラムの設計部分はそれだけで特許法の対象です。またそれが営業秘密に該当すれば不正競争防止法の保護対象になりますから、やはりウが正しいようです。
空欄Cは、ソースコードとありますね。ソースコードは著作権の保護対象ですし、ソースコードはプログラム等に該当するので特許法にも該当します。また当該ソースコードが営業秘密に該当するなら不正競争防止法の保護対象になるのでやはり正解は、ウ である。
次は設問2です。
著作権法による保護について問うています。
実現する機能が同じプログラムαとβがあるってことですね。これが著作権侵害だとみなされるのはどういう場合かということでしょう。
そもそも著作権は、思想または感情を創作的に表現したものであって文芸・学術・美術または音楽の範囲に属するもの、と定義されています。このへんを踏まえて選択肢の検討にはいりましょう。
アですが、「秘密として管理」とありますね。秘密管理性が論点になるのは不正競争防止法です。それに技術ノウハウは著作権の保護対象ではありません。よって不適だといえます。
イは、実質的に同じ表現なら著作権の侵害です。著作権は“表現”を保護しますからね。
ウは、技術的思想を論じるのは特許権であり、著作権ではないです。
エは、そもそも著作権の保護を受けるための登録制度は著作権法には規定がありません。
以上により、正解は、イ である。