経営法務【平成19年度 第8問】
【平成19年度 第8問】
特許法は、その第35条で職務発明について規定をおいている。この規定の内容として、最も不適切なものはどれか。
ア 従業者等は、勤務規則等の定めにより、職務発明について使用者等に特許を
受ける権利を承継させたり、もしくは当該職務発明についての特許権を承継
させたりした場合には、使用者等により相当の対価の支払いを受ける権利を
有する。
イ 職務発明でない場合に、あらかじめ勤務規則等で使用者等が特許を受ける権
利を承継できる旨を定めても、それは無効である。
ウ 職務発明とは、従業者等が、その性質上使用者等の業務範囲に属し、かつ、
その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在または
過去の職務に属する発明をいう。
エ 職務発明に関する相当の対価を決定するための基準は、重要な事項であるか
ら、必ず勤務規則で定めなくてはならない。
これって平成17年の青色LED訴訟の和解を意識して出題したのかな?
どうも経済界が職務発明の部分で特許法の改正を要求しているようだけれどね。また改正論点になると思うと、うんざりしちゃうな。
さて、職務発明についてだが、企業の製品開発の一環としてなされた従業員の発明を指す。特許を受ける権利は従業員にあり、特許を受ける権利をもつ使用者等には無償の通常実施権が与えられる。使用者側はあらかじめ就業規則等に「特許を受ける権利の承継」「特許権の承継」「(仮)専用実施権の設定」を定めることが出来るが、使用者がこれらの権利を受けた場合は、従業員に相当の対価を支払う義務が生じる。相当の対価って話し合いで決めるそうだ。話し合いで決まらない場合には訴訟によって算定されることになる。青色LED訴訟は確か8億ほどだったかな,和解金。一審で220億とか出てきたのにね。あと味の素でも訴訟があったらしい。
さて、これらを踏まえて選択肢をみてみたい。
アは、おかしいところはないように思うけど・・・。
イは日本語が難しいぞ(笑)
職務発明でない場合だから、企業の製品開発の一環としてなされなかった発明ということになりますね。つまり休憩中とか趣味とか暇つぶしとか企業での本職の活動以外が職務発明でない場合ってわけ。
職務発明でない場合に職務発明のような内容を就業規則に定めても、それは無効だというのがどうやらイの肢の内容らしい。
もし、職務発明でない場合も認めてしまうとその企業に属している限りすべての特許を受ける権利が企業にいっちゃうから、そいつはおかしい。よって、無効とするイの肢は正しい。
ウは、これも正しい内容に見えるな。
エは、相当の対価は話し合いで決めるとしているし、その話し合いに合理性がないといけないだろうからね。相当の対価を決定する方法やその基準は何も就業規則でなければならないわけではなく、雇用契約でもよいとされている。ゆえに本肢が不適。
以上により、正解は、エ である。