経営法務【平成20年度 第6問】
【平成20年度 第6問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
特許権も( A )であるから、特許発明を自由に使用し、収益、処分することが出来る。これを特許権の効力の1つとしての( B )という。そして、このことを特許法は第68条で規定している。特許権のもう1つの効力は( C )である。この( C )のなかには差止請求権、損害賠償請求権、侵害物廃棄請求権、不当利得返還請求権、( D )等がある。
(設問1)
文中の空欄A~Dに入るものとして、最も不適切なものはどれか。
ア A:財産権 イ B:専用権
ウ C:排他権 エ D:特許権の取消請求権
(設問2)
文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 差止請求権とは、特許権が侵害され、または侵害されるおそれのある場合に
その停止または予防を請求する権利である。
イ 侵害物廃棄請求権とは、権利侵害物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却
を請求する権利である。
ウ 損害賠償請求権とは、権利侵害によって生じた損害の賠償を請求する権利で
あり、この権利は損害発生の事実を知った日から5年で時効により消滅す
る。
エ 不当利得返還請求権とは、法律上の原因なくして他人の特許権を利用して利
益を受けた者に対し、その利益の返還を求めることが出来る権利であり、故
意過失を要件とはしない。
ってか、設問1って瞬殺できますよね? だって、特許権の取消請求権ってないですもん。だから設問1はエですよ、正解は。
だから設問2に移ります。
アの差止請求権ですが、これって侵害のおそれがある場合でもよいんですね。侵害のおそれがある場合はその予防を請求できる権利です。
イは、そのまんまなんです。
ウは、特許権侵害の損害賠償請求は民法の不法行為に基づいています。だから時効は不法行為の時効が適用になりますね。肢には「5年」とありますが、不法行為の時効は「3年」です。実はあまり5年ってのはないんですね。ちなみに債務不履行は10年だし、不当利得も10年。瑕疵担保責任(民事)は1年です。
エは前段は正しい記述ですね。後段の「故意過失を要件としない」ってところの正誤判断です。不当利得は本来は故意/過失を要件としますが、特許法の場合には故意過失は要件とされないとする規定があります。ゆえに本肢は正しい記述であることが分かります。
以上により、正解は、ウ である。