自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経営法務【平成17年度 第8問 改題】

【平成17年度 第8問 改題】

甲は、ゲーム機aについて特許権Xを保有している。乙は、甲の保有する特許権Xに係るゲーム機aについて、乙が日本全国で独占的に製造販売することを内容とする製造販売許諾契約を特許権Xの存続期間が満了するまでを期限として甲と2012年4月に締結し、ゲーム機aの製造販売を開始した。ただし、乙は専用実施権も通常実施権も登録をしなかった。

その後、乙のゲーム機aの製造販売が軌道に乗ってきた2013年9月に、乙は、丙から「貴社が製造販売しているゲーム機aは、弊社の専用実施権を侵害するものであるから、直ちに製造販売を中止してもらいたい」という警告状を受け取った。乙が調査したところ、2013年6月に特許権Xについての専用実施権の設定登録が行われており、丙は専用実施権を保有していることが判明した。

乙に対するアドバイスの中で最も適切なものはどれか。

 

ア 乙が甲と締結した契約は、特許権Xに基づき日本全国で独占的に製造販売する

  ことを内容とするゲーム機aの製造販売契約であるから、甲と乙の契約以後に

  締結した丙の専用実施権の設定契約は無効です。したがって、乙のゲーム機a

  を製造販売する行為は、丙の専用実施権の侵害には当たらないので、乙は、

  何の問題もなく製造販売を継続して行うことが出来ます。

イ 乙の甲とのゲーム機aの製造販売に関する契約は2012年4月で、丙の専用実

  施権の登録の日の2013年6月より1年以上も前ですので、乙のゲーム機aの

  製造販売実績からして、乙には先使用権が発生しているので丙の権利行使は

  許されるものではありません。

ウ 甲の乙とのゲーム機aの製造販売に関する契約は2012年4月で、丙の専用実

  施権の登録の日の2013年6月より早いので、乙は、何の問題もなく製造販売

  を継続して行うことが出来ます。

エ 丙の専用実施権は、設定登録を受けて発生している権利で、有効に成立して

  おり、乙の甲との製造販売契約が丙と甲との契約より早く締結されていたと

  しても、乙のゲーム機aの製造販売は、権利侵害になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

改題ってことは法改正があって論点も変わったってとこだろうな。

これは時系列で眺めるのが良いと思うぞ。

2012年4月  乙→製造販売許諾契約締結。製造販売開始

2013年6月  丙→専用実施権設定登録

2013年9月  乙、権利侵害だと警告される

ふむふむ。

これって先使用権とは違う、か。先使用権は善意の実施者と後願の特許取得だもんな。先使用権じゃなさそうだけど・・・。

アは、丙の専用実施権登録は無効じゃない。むしろ有効だ。だって乙は専用実施権の登録をしていないしな。だからこれはダメ。

イは先使用権と言えるのかな、ってところがポイントだな。保留すっか。

ウは、「何の問題もなく」が気になる表現だなぁ。たぶん通常実施権が与えられるだろうし、通常実施権は登録がいらないからなぁ。これも保留。

エは、丙の専用実施権登録は有効だ。でも、この甲って乙に黙って丙と専用実施権登録をしたのなら信義に反するなぁ(笑) そもそも乙は甲と許諾契約を結んでいるんだし、通常実施権くらい与えられそうだけどな。コイツはブーだな。

そうすっと、イかウか。やっぱ先使用権だとしたら、乙が善意の実施者で、その後、丙が特許取得した場合だよなー。

だから、ウだ、きっと。

乙の製造販売許諾契約って、実は通常実施権の許諾契約と同義なんだよな。

それに通常実施権は登録なしで第三者に対抗できるようになっているからウが正わけだ。

正解は、ウ である。