自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

経済学・経済政策【平成19年度 第10問】

【平成19年度 第10問】
 内生的経済成長論の説明として、最も適切なものはどれか。

ア AKモデルでは、限界生産力逓減の生産関数を仮定し、貯蓄率や全要素生産性
  の変化が経済成長の要因になることを明らかにしている。
イ ITの普及によって低インフレや高成長が生じたという「ニュー・エコノミー」を

  説明するものとして内生的経済成長論が確立され、技術進歩を内生変数(モデル内
  で説明される変数)として扱う。
ウ 新古典派経済成長論は、1人あたりの産出量が持続的に上昇することを明らか
  にしているが、内生的経済成長論は、それが長期的は一定の水準に収束するこ
  とを証明している。
エ 内生的経済成長論では、教育、知識、人的資本、研究開発が経済成長に果たす
  役割を重要視している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソロー=スワンモデルでは、技術進歩を外部から与えられた定数、すなわち外生的に与えられるものとしているのですが、この技術進歩もある要因によって変わっていく数(内生変数)として扱い、技術進歩の要因についても分析しようというのが内生的経済成長理論なのです。
よく見かける理論が「AK理論」ですね。

AK理論においては、Y=AK(A:正の定数、K:広義の資本)という式で表すことができます。そこで技術進歩を外部から与えられたものとすると定数Aが増加すると考えますが、定数Aが変化するのではないと考えるのが内生的経済成長理論です。
すなわち、たとえば教育によって技術進歩がなされたとすれば教育制度改革によって優秀な研究者や労働者が増加し、つまり広義の資本:Kが増加することで国民所得が増加すると考えていくということです。
広義の資本には、通常の資本とされる機械や道路のほかに、教育制度、研究開発制度、研究者数、アイデア事業化する制度、過去からの特許、アイデア・ノウハウの蓄積など技術進歩を促す要因すべてを含みます。

これらを踏まえて選択肢を検討していきましょう。
ア:AKモデルは限界生産力逓減の仮定を置きません。資本の限界生産力逓減を仮定するのはソロー=スワンモデルです。ゆえに不適。
イ:ニュー・エコノミーって内生的経済成長理論と関係あるっけ?
ウ:新古典派経済成長論は、資本係数が上下しながら現実の成長率と、保証成長率、自然成長率が一致していくとした理論です。これってハロッド=ドーマー理論との対比で覚えておきます。不適です。
エ:内生的経済成長論で言う広義の資本とは人的資本を指します。ゆえに本肢は正しい記述です。
したがって、正解は、エ である。

難関論点なんですよ。
難しいのです。