自称週末ファーマーの国家試験受験記

自己啓発の延長なのか、自己実現の手段なのか、はたまた意地の張り合いか。生きているうちに“何か”を成し遂げたいから走り続けているような感じがする

財務会計【平成20年度 第1問】

【平成20年度 第1問】
 次の資料に基づいて,支店独立会計制度における未達事項整理後の支店勘定残高の計算式として,最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:円)。

未達事項整理前の支店勘定残高202,000 円(借方)

未達事項
・1 本店から支店へ発送した商品98,000 円
・2 支店から本店への60,000 円の送金
・3 支店の売掛金162,000 円の本店による回収
・4 本店の販売費21,000 円の支店による立替払い


〔解答群〕
ア 202,000-162,000+60,000
イ 202,000-98,000+162,000
ウ 202,000-60,000-21,000
エ 202,000+21,000+98,000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここんところ、本支店会計に関する出題が多いので取り上げてみました。頻出度的にはCランクで出れば捨て問みたいに扱われているんだけれどこうも出題が続くと対策をしたくなるもので・・・(笑)

本支店会計とは支店の会計を独立させた会計処理のことです。
本店と支店の取引によって生じる債権債務の関係についてそれぞれが相手方の勘定を設けて処理をするものです。
本店勘定と支店勘定は“照合勘定”で、取引は同じ金額で貸借が逆に記入されることになるのでそれぞれの残高は常に貸借が逆で一致することになります。

(例) 支店の仕入先への買掛金について、本店が現金で立て替えた。

 本店側 → 支店 ×× / 現金 ××
 支店側 → 買掛金 ×× / 本店 ××  というふうな仕訳です。

 

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①には、支店への立替払いとか支店への送金、支店への商品発送などが該当します。
②には、支店からの現金や商品の受取などが該当します。
③には、本店への送金や商品の積送などが該当。
④には、本店の立替払い、本店からの現金、本店からの商品受取などが該当します。

ここでは、次の4つを取り上げたいと思います。
1.現金の送金
2.立替払い
3.本支店間の商品取引
4.支店相互間の取引

1.現金の送金

(例) 本店は支店に現金100千円を送付し、支店はこれを受け取った。

<本店の仕訳>  支店 100千円 / 現金 100千円
<支店の仕訳>  現金 100千円 / 本店 100千円

T字勘定で書くと分かりやすいですが、貸借が逆で一致します。

2.立替払い

(例) 支店は、本店の仕入先へ買掛金200千円を現金で立て替えて支払い、
    本店はこの連絡を受け取った。

<本店の仕訳> 買掛金 200千円 / 支店 200千円
<支店の仕訳> 本店 200千円 / 現金 200千円

本来の仕訳は、買掛金 200千円 / 現金 200千円  ですね。これを本店と支店に分解して記帳しているだけです。

(例) 本店は支店に現金5,000円を送付、支店はこれを受け取った。

<本店の仕訳> 支店 5,000 / 現金 5,000
<支店の仕訳> 現金 5,000 / 本店 5,000

3.本支店間の商品取引

本支店間の商品取引には2種類あります。
1)仕入原価そのままで処理する場合
2)仕入原価に一定の利益を加算して処理する場合  の2つです。

発送する際の価格を「振替価格」といいます。
一定の利益を加算した価格も「振替価格」といいますが、他企業との取引と区別するために「支店への売上」「支店より仕入」「本店より仕入」「本店へ売上」

という勘定を用います。

(例) 本店は支店へ仕入原価5,000円の商品を発送し、支店はこれを受け取った。

→ 「支店は本店から仕入原価5,000円の商品を仕入れた」と考えるといいかもしれません。

<本店の仕訳> 支店 5,000 / 仕入 5,000
<支店の仕訳> 仕入 5,000 / 本店 5,000

次は一定の利益を加算するケースです。
(例) 本店は支店へ仕入原価5,000円の商品を10%の利益を加算して発送し、
    支店はこれを受け取った。

→ 「支店は5,500円の商品を仕入れた」と考えつつ、利益が加算されるので勘定科
   目名に気をつけることが必要です。

<本店の仕訳> 支店 5,500 / 支店への売上 5,500
<支店の仕訳> 本店より仕入 5,500 / 本店 5,500

4.支店相互間の取引

これにも2種類があって、
1)本店集中計算制度  2)支店分散計算制度  の2つがあります。

1)本店集中計算制度
 支店相互間でも本店を経由させて処理する方法
2)支店分散計算制度
 支店相互間で勘定を設けて処理する方法

順番にみていきましょう。

1)本店集中計算制度
 支店相互間の取引についてそれぞれの支店が本店と取引したとみなすしくみ。

(例) A支店はB支店に現金1,500円を送金した

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直接こうすればよいのだけれど、

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わざわざ本店を経由させるのが本店集中計算制度ですね。だから3つ仕訳ができます。

<A支店> 本店 1,500 / 現金 1,500
<B支店> 現金 1,500 / 本店 1,500
<本店>  B支店 1,500 / A支店 1,500  っつうことです。

2)支店分散計算制度
 それぞれの支店に相手方の勘定科目を用いて処理するしくみ。
本店集中とは異なり、本支店間の取引の仕訳はナシです。

(例) A支店はB支店に対して現金1,500円を送金した。

(A支店) B支店 1,500 / 現金 1,500
(B支店) 現金 1,500 / A支店 1,500
(本店) 仕訳ナシ

さて、本問は支店勘定残高を問うています。未達事項とはまだ本店が取引を認識していないことを表します。
支店勘定ということは、本店の帳簿ですね。つまり支店が行った取引で、まだ本店が取引を認識していない取引を抜き出せばよいことになります。

・1は 本店から支店へ発送した商品 ですから本店の取引。
・2は 支店から本店への送金 なので、支店の取引
・3は 支店の売掛金の本店による回収 ですから本店の取引
・4は 支店による立替 ですから支店の取引です。

・2は60,000ですし、・4は21,000ですからこれらを満たす選択肢はウしかないので正解はウです。

正解を導くだけならこれでいいんですけどね。