経営法務【平成21年度 第10問】
【平成21年度 第10問】
A 株式会社と B 株式会社は、それぞれが有する専門技術を生かして新規のシステムを共同開発することを模索し、まずは秘密保持契約を締結して相互に技術情報を相手方に開示しようと合意した。この秘密保持契約に関する記述として最も適切なものはどれか。
ア 秘密保持契約において相互に開示したデータや情報について、契約終了後、
開示した当事者の請求にもとづいてそれらを破棄または返却するなどの条項
を設けなくとも、開示した当事者は受領した当事者に対し、所有権にもとづ
きデータ・情報の廃棄または消去を請求できる。
イ 秘密保持契約は、共同開発が本格化した場合に締結される共同開発契約等の
本契約とは別個に締結されるものであるから、本契約とは別途、秘密保持の
対象となるべき情報が授受される期間や当該情報の秘密を保持すべき期間な
どの条項を定めることができる。
ウ 秘密保持契約は、秘密を保持すべき義務を課すものであるが、故意または過
失により秘密を開示されたことによって生ずる損害が明確に立証できないた
めにいわゆる紳士協定であるともいわれ、相手方が万一契約違反をした場合
であっても、他の法令に違反しない限りは相手方に対し何ら権利を主張でき
ない。
エ 平成17年(2005年)に改正された新不正競争防止法により、共同開発を目
的として開示された情報について、情報を受領した当事者に対し5年間秘密
保持義務が課せられたので、あえて秘密保持契約を締結する必要はない。
この問題はフツーに考えてフツーに答えれば正解できますね。問題はそのフツーというのが何かってことですけど、法学的な常識で言えば正解は簡単にでてきますです。
選択肢を検討しましょう。
アですが、フツーは廃棄や返却の条項を設けます。データや情報は無体物ですし、そもそも所有権は有体物に発生するので所有権にもとづいてという件は不適です。
イです。フツー別個に締結しますです。
ウは、秘密保持契約が紳士協定なんて聞いたことないし、そんなんじゃ、秘密保持「契約」にならないです。
エは、5年間の秘密保持義務なんて聞いたことない。
ゆえに、正解は、イ です。