経営法務【平成18年度 第6問】
【平成18年度 第6問】
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
著作物は、思想または感情を( A )に表現したもので、著作権は( B )の時に発生し、個人の著作権は( C )の経過によって消滅する。著作者には、著作者人格権が認められており、この著作者人格権には( D )が認められており、著作権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対して、その( E )を請求することができる。
(設問1)
文中の空欄Aに入る語として、最も適切なものはどれか。
ア 技術的 イ 創作的 ウ 独創的 エ 美的
(設問2)
文中の空欄Bに入る語として、最も適切なものはどれか。
(設問3)
文中の空欄Cに入る語として、最も適切なものはどれか。
ア 公表後50年 イ 著作者の死後50年
(設問4)
文中の空欄Dに入る語の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
ア 公表権、実名使用権、秘密保持権
イ 公表権、氏名開示権、同一性使用権
ウ 公表権、氏名表示権、同一性保持権
エ 公表権、変名使用権、同一性保持権
(設問5)
文中の空欄Eに入る語として、最も適切なものはどれか。
ア 侵害物品に対する仮差押え イ 侵害による損害賠償
ウ 侵害の停止または予防 エ 侵害物品の引き渡し
この年って簡単だったのかな? しかも枝問で5つもあるけど、配点は4点なのかな? だとするととてもラッキーな問題のように思えるけどね。
では設問1から。
これは著作物の定義について問うています。「創作的」が正しいので正解はイ。
設問2。著作権の発生のタイミングを問うています。
著作権は登録不要で発生しますから、創作の時に始まるとするエが正解。
設問3。
著作権の存続期間を問うていますが、著作権は創作の時に発生し、存命中および死後50年としていますから、正解はイです。
設問4です。
著作人格権は一身専属的な権利ですが、著作権は財産権と同様の扱いです。ですから著作者人格権は譲渡・相続できませんし、著作権は譲渡・相続できます。こn著作者人格権には、公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つがある。ゆえに正解は、ウ。
設問5は、著作権の侵害に関して問うています。
著作権が侵害されたら、民法による損害賠償請求と不当利得返還請求、著作権法での差止請求と名誉回復等措置請求によって対抗します。著作権法では第112条に侵害停止請求と侵害予防請求が可能であると定められています。
本問は「著作権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対して」とあります。
そこで選択肢を検討しましょう。
アは「侵害物品に対する仮差押え」です。一見合致しているように思えます。
イは「侵害による損害賠償」です。これも合っているように見えます。
ウは「侵害の停止または予防」です。んー。
エは「侵害物品の引き渡し」です。これも合っているっぽくね?
ひょっとしたら不適切なものを選ぶのかな? あ、いや、適切なものだった。あれ、おっかしいなぁ。
侵害されれば仮差押えだって損害賠償だって侵害物品の引き渡しだってOKっぽいよね?
あ、そうか。「著作権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対して」だから必ずしも侵害されたとは限らないんだ。侵害するおそれだけで損害賠償とかできないもんね。
以上により、正解は、ウ である。